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手遅れになる前に。製造業の転換が求められる「2025年の崖」

コラム
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経済産業省は「デジタルトランスフォーメーション(DX)」へ取り組むことへの重要性、そして取り組みが進まなかった場合の経済損失についてのレポートを発表しています。その内容には「2025年の崖」という言葉が含まれているのですがご存知でしょうか?
ちなみに、このレポートは2018年に発表されたものですが、2021年になった今も、度々話題に上がることがあり、DXの重要性について製造業を含むさまざまな業界に訴えているレポートです。
今回は、そんな「2025年の崖」についてご紹介します。

「2025年の崖」とは?

経済産業省が発表したDXレポートに記載されていた「2025年の崖」とは、ITに関するさまざまな問題を指す言葉となっています。ちなみに、DXとはデジタルトランスフォーメーションの略称で、デジタル技術に対応することで、ビジネスモデルや組織など、企業の変革を目指す取り組みのことです。

企業が昔から使っているシステム(レガシーシステム)には、複雑化したものや老朽化したもの、ブラックボックス化してしまったものなど多くの課題があると指摘されています。もし、これらが改善されずに残ってしまった場合、デジタル戦争での敗北や日本経済の損失が想定されています。近年、製造業ではIT技術の導入が進んでいるため、多くの企業ではこうした「取り残されてしまう」危機感がある人も多いのではないでしょうか?
そのため、現時点で抱えている問題や課題を解決しなければ2025年以降、製造業をはじめとするさまざまな業界が最悪の事態を招く可能性があります。そのような最悪の事態を避けるために、経済産業省はDXレポートにてあらゆる問題を指摘しています。

経済産業省が想定する最悪の事態

前章でご紹介した最悪の事態ですが、一体どのようなことが考えられるのでしょうか?経済産業省が発表したレポートでは、以下でご紹介する4つの事態を想定しています。どれも起きてしまってからでは手遅れになる可能性があるため、早急に対策を取る必要があることが考えられます。

作業工数の増加

現在、製造業で運用されているシステムの中には、最近ではあまり使用されない言語や基幹系システムなど、とても古いシステムが使われていることがあります。そのようなシステムを運用し続けると、開発を担当したエンジニアの退職により最新版への更新が行われなかったり、セキュリティ対策の遅れにより情報漏洩のリスクが高まってしまいます。
このようなシステムはレガシーシステムと呼ばれ、技術者不足によって運用や保守の継続が困難になってしまいます。そのため、これまで以上に工数が増加する傾向があると予測されています。

約90%ものIT予算が吸い取られる

昨今、ITに関する知識や技術を持つ人材が不足しており、2025年には大幅な人材不足に陥る見通しとなっています。このままの状態が続いてしまうと、2025年にはIT予算の約90%がレガシーシステムの対応に割り当てられてしまうことが想定されます。このような状態を招かないためにも、今から適切な改善とシステムの更新を行うことが重要な課題となっています。

経済損失が現在の3倍に

近年、世界中のさまざまな企業でDXが浸透しており、次々と新しい技術開発が行われています。そのため、日本の国際競争力も今後はDXを通じどのようにデジタル戦争を戦っていくのかが重要になります。
しかし、DXの実現ではなく、現状維持の方向で投資をおこなってしまうと日本の企業はデジタル戦争で勝ち抜くことができなくなってしまいます。また、その結果としてデジタル分野での国際競争力が後れをとってしまう最悪の事態が想定されています。

最悪の状態から抜け出せない

レガシーシステムの対策やDXを行わなかった場合、現状のシステムを維持することすらできなくなってしまいます。というのも、世界中では次々にDXが浸透しているため、古いシステムの運用や保守を行う技術者が減少していくからです。
そうすることで、DXを導入している企業と比べ、サービスの質が低下し続けてしまうこととなり、最悪の状態から永久に抜け出せなくなってしまいます。つまり、現在のシステムへの対策に加えてDXを導入する投資を行わなければ、まるで崖から落ちていくような勢いで競争から脱落することになってしまいます。

問題の根幹「レガシーシステム」

2025年の壁の根幹となっているのは、これまでご紹介した「レガシーシステム」です。このシステムは企業の未来を蝕む原因となるため、早急な対策とDXへの投資や導入が改善のカギとなります。
ここでは、そんなレガシーシステムが問題の根幹となる2つの原因についてまとめてみました。それぞれについて具体的にご紹介しているので、今後の対策としてぜひご参考ください。

ベンダーへの集中

ベンダーはシステムの販売・構築・サポートを行う会社のことで、自社にシステム部門がない企業の多くは開発業務を外注している場合があります。そして、システムを利用するにあたり企業の担当者とベンダーが構築を進めていくのが一般的な業務フローとなっています。 つまり、実際にシステムの開発を行っているのは企業の担当者ではなくベンダー。したがって、専門的な知識や技術を持つ技術者が集中しているのはベンダーになり、システム稼働後もしっかりと運用・保守ができるように余裕を持った人材管理を行なっています。
レガシーシステムの運用を続けることで、こういったベンダーからの支援が減少と技術者不足により、レガシーシステムを扱えなくなってしまう可能性があります。

技術の属人化

システムの開発を行う人材ですが、実際には担当する分野が分かれています。そのため、同じ技術者でも担当する分野によって熟練度が異なりますし人事異動や退職などによって、たとえベンダーといえど属人化しやすい傾向にあります。
また、属人化によって部分的にブラックボックス化してしまうことがあります。退職時や異動時に引継ぎが正しく行われなかった時に、ブラックボックスの解析が発生し本来であれば不必要な業務コストがかかってしまう場合があります。このような状態もレガシーシステムの問題の1つとして挙げられています。

製造業が行うべき今後の対策

2025年の崖を対策するにあたり、「守り」と「攻め」の2つの対策が存在します。守りの対策を行うのであれば、現状のレガシーシステムと正しく向き合い、改めることが大切です。そして、経営層が現状の把握と見える化を行い、現在のシステムを刷新することが重要なポイントになります。

攻めの対策を行うのであれば、現状のシステムを刷新しつつ、デジタル社会における基盤を強化するといった2つを同時に進行することが大切です。そして、製造業の場合はそれに加え、積極的な投資と情報収集が大きなカギとなるでしょう。

コロナ禍である今が転換期

新型コロナウイルス感染拡大が原因となり、製造業をはじめとするさまざまな業界では経済的に大きなダメージを受けています。しかし、そんなコロナ禍である今が製造業の転換期でもあります。
DXすることでレガシーシステムへの対策がすすみ、未来の製造業を豊かにしてくれます。これによりデジタル社会へ積極的に参加することが、企業にとって大きなメリットになるでしょう。 新しい技術の導入やDXへ対する投資のバランスを考えることが最も重要なポイントです。それぞれをしっかりと見極めた上で、2025年の崖に備えておきましょう。

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