最近、「デジタルトランスフォーメーション（DX）」という言葉をよく耳にすることがあるかと思います。製造業をはじめ、さまざまな業界で注目を集めるトレンドワードとなっており、DXを進める企業が増加しています。

そんなDXですが、メリットやデメリットはもちろん、正しい意味や定義などを理解しないまま初めてしまったことにより、間違った施策を行ってしまう企業も少なくありません。

そこで、この記事では製造業におけるDXのメリット・デメリットについてご紹介していきます。また、事前に知っておきたい基礎知識もご紹介しているので、ぜひ参考にしてDXを始めてみてください。

「DX」の概念とは？始めることでどうなる？

DXの概念とは「デジタル技術を浸透させ人々の生活をより良いものになるよう変換する」です。

ビジネスシーンにおけるDXは「進化し続けるデジタル技術を活用しビジネスモデルを新しく作り出す」という学問的用語となっています。似たような用語で「IT化」という言葉がありますが、DXはデータやデジタル技術を活用することで製品・サービス・ビジネスモデルの変換という意味を持ち、IT化はそれを行うための手段の1つというものになります。

製造業がDXを始める3つのメリット

DXは進めるにあたってメリット・デメリットがあります。新しいことを始める場合、導入することでどのような効果が得られるのかを把握しておくことが重要です。

単純に話題になっているから、または良いと聞いたからといった理由だけで始めるのは失敗の大きな原因です。そこで、ここではDXのメリットをまとめましたのでご覧ください。

生産性と効率の向上

1つ目のメリットは、生産性と効率の向上です。IT技術を導入することで担当部署やチームなど、複数の作業員と円滑な情報共有が可能になるため、生産性の向上が期待できます。

また、分散したワークフローの統合や、優先度・重要度の高いタスクに集中した業務が可能になるため、各業務の効率化も期待できます。

市場ニーズの変化に対する柔軟な対応

2つ目のメリットは、さまざまな変化に対して迅速な対応が可能になるというもの。多くの企業ではまだまだ部門間のデータ共有がうまくいっていないケースが多く、情報の共有に時間がかかってしまう場合があります。

しかし、DXを進めることで各部門との連携を強化し、タイムリーな情報共有を可能にします。その結果、市場に合った製品の開発や製造に要する時間短縮、市場変化への柔軟な対応が可能になると言われています。

効率化による新たな事業への着手

DXを進めることで効率化が進み、新たな事業やサービスの開発にチャレンジできる時間が生まれます。ちなみに、DXによる真の目的は、単なるデジタル化の推進ではなく、生産性の向上や効率化により新たなビジネスモデルの創作を目指すものです。

これまでにない新しい事業やサービスの開発は、顧客満足度の向上が期待できます。また、集客や企業との競争力を高められるとも言われています。新規事業や新たなサービスの成功は新しい収益源になるので、製造業をはじめさまざまな業界で注目を集めている理由の1つです。

DX2つのデメリット

次にDXのデメリットについてご紹介します。

導入コスト

DXを始めるには現状のITツールだけでなく、新しいシステムや機器が必要になる場合があります。規模にもよりますが、DXにかかるコストが膨大に膨らんでしまうこともあります。それにより、なかなかDXを進められないという企業もあります。

さらに、導入したからと言ってすぐに成果が得られるという訳ではありません。初期費用はもちろん、ランニングコストも発生するため、予算確保が難しい企業や、短期間で成果を求められるような企業では、DXのハードルは高いのかもしれません。

スムーズな運用には社内全体の協力が必要

DXは成果を必要とする部門だけでなく、社内全体でシステムを統一しなければ望んだ結果を得ることはできません。DXはじめの一歩は社内データを統一することからになるので、DXを始めるまでに多くの準備が必要になることがあります。

また、社内全体の協力を得ることができたとしても、DXによって業務プロセスが大きく変わることもあります。急な業務プロセスの変更により、社内全体で密な連携が取れなくなってしまい、DXしてもスムーズな運用ができなくなってしまうケースもあります。

製造業でDXを始めるには？

これまでの内容から、DXとはどういった取り組みなのか、メリット・デメリットなどがお分かりいただけたと思います。しかし、「実際にDXを進めるためにはどうすれば良いの？」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか？

ここでは、そんなDXを始めてから成功と言えるまでのステップをまとめてみました。製造業でDXを検討しているのであれば、ぜひ次にご紹介する始め方を参考にしてみてください。

実現したいイメージを明確にする

最初のステップは実現したい企業イメージを明確にすることです。

DXは必要なシステムや機材を導入すれば成功するというものではありません。また、「導入することで解決されそうな課題があるのか」というものを洗い出すことも大切です。

スモールスタートで始めること

2つ目のステップはスモールスタートで開始することです。小さな取り組みを行いながらどのような効果があったのかを検証し、問題なければ次の工程に進むといった手順を繰り返し行います。

この方法であれば膨大なコストがかかることもなく、失敗した場合のリスクを最小限に抑えることができるので、最初はスモールスタートから始めることをおすすめします。

社内全体の生産性向上を目指す

3つ目のステップは社内全体の生産性を目指すことです。まずは製造現場での生産性の向上を進める必要がありますが、その次に社内全体にDXの取り組みを広げていきます。

営業やマーケティング部門との連携が可能になれば、全体的に生産性を向上させることができるようになるでしょう。

新しい取り組みに力を入れる

4つ目のステップは新しい取り組みに力を入れることです。DXによって収集されたデータをうまく活用することができれば、新しい取り組みに手を出すことができるようになります。

ちなみに、このステップまでたどり着くことができれば、DXに成功している状態だと言われています。また、新商品や新サービスの開発だけでなく、既存商品の改善やアフターサービスの充実など、これらの業務もDXの目的であり顧客満足度向上にもつなげられます。

DXは製造業にとって大きなメリット

DXの成功は製造業にとってさまざまなメリットをもたらせてくれます。生産性の向上や効率化、市場ニーズへの柔軟な対応、新しい取り組みの開始など、このようなメリットを得ることが可能です。

しかし、DXによって発生するデメリットもあるので、DXを進めるのであればメリット・デメリットの両方を把握しておくことが大切です。成功すれば顧客満足度や競争力の向上といった効果を得ることができるので、ご紹介したステップを参考にしてDXを初めてみてください。