PROJECT

人の目では対応できない外観検査
0.1mm単位のレーザ溶接検査をロボットで

株式会社タチエス

フレーム生産技術課課長
伊藤 輝

EVの軽量化には欠かせないレーザ溶接

様々な自動車のシートを企画開発している株式会社タチエス様。平塚工場では自動車用シートのフレーム骨格からシートの完成品までを製造し、全国の拠点の中でも最も多い年間15万台生産する製造ラインを有します。その検査工程にL-QUALIFYをご採用いただきましたので、フレーム生産技術課課長・伊藤輝様に開発のいきさつをお伺いしました。
あらゆる自動車部品は、燃費向上のため常に軽量化を追求されています。EV化により軽量化の傾向は一層強まっており、シートフレームにおいても薄板での設計が求められるようになりました。材質の変化に伴い製造工程も最適化する必要があります。今回の大きな特徴は、レーザ溶接を取り入れた機種であることです。

リンクウィズ:シートフレームにレーザ溶接を適用するにあたり、従来との違いや課題などどのようなものがありましたか?

伊藤氏:欧州メーカーではレーザ溶接を取り入れたシートフレームの普及が進んでいますが、設備コストがかかる点などから国内ではまだまだ普及していません。レーザ溶接は低入熱・低歪みで薄板の溶接が可能なこと、アーク溶接のように金属の盛り上がりがなく重量への影響が少ないことが強みですから、軽量化が大きな鍵となるEV化の波の中ではレーザ溶接の適応部位はどんどん拡大していくと考えられます。今取り組みを始めていかなければ変革のスピードに追いついていけないでしょう。
溶接の方法が変われば検査の方法も変わりますが、凝固した溶融部の形状にバラつきがあるのは、どの溶接も同じです。どれだけロバスト性高く安定的に不良を判定できるかなのですが、その判断基準が難しいため、何を以て良・不良とするかは常に課題となります。
従来は人の目による検査を行っていましたが、今回のレーザ溶接は溶接部が盛り上がるのではなく、0.1ミリ単位のヒケ(深さ)が出るのが特徴です。これは人の目では判断できませんので、センサを使用して判定しようと考えました。

そこで検査装置を探して様々なセンサを検討した伊藤様。多くのメーカーのカタログには検査が可能であると謳われていたことから、当初は容易にできると考えていたそうです。さらに、加工条件をモニタリングすることで不良品を判断できるのではないかと考えました。

検査に必要な精度を求めて

リンクウィズ:具体的にはどのように上手くいかなかったのでしょうか?

伊藤氏:センサメーカーさんの製品は汎用センサとしての検査装置なので、測定の基準面をどこにするかなど詳細に設定することができませんでした。汎用性が高い分、ビードにマッチした個別開発ができなかったんです。そのため、モニタリングでは良品の条件を満たしていても、実際に測定してみるとヒケが深く出て不良品になってしまうものもありました。これでは確実な検査方法とは言えません。それでセンサメーカーさんから、リンクウィズさんであれば解決できるかもしれないとご提案いただきました。リンクウィズさんへは、数年前に本社に伺って実演トライをしていただいていたので安心感がありました。

リンクウィズ:導入までの苦労などはありましたか?

伊藤氏:リンクウィズさんとの取り組みは、レーザ溶接の開発が完了し量産化を実行するタイミングで始めました。最初はテストピースでのトライアルから開始し、バラつきなくデータが取れる固定能力が証明されました。さらに設備に組み込んで実験を行い、量産化へとつながりました。
導入で苦労した点は、理論上はうまくいくはずなのに実際のワークで行うとデータ取りにバラつきが出てしまったことです。検査条件を試行錯誤しながら、地道にデータ収集を繰り返しました。リンクウィズさんにもお付き合いいただき申し訳なかったですが、レポートをまとめていただくなど大変助かりました。
導入から立ち上がりまで予定から延期が発生した車種だったので、その間にソフトウェアの調整やバグフィクスを行うことができました。販売メーカーさんにお願いすると一蹴されがちですが(笑)、リンクウィズさんはユーザの求める形に合わせて修正や提案をしていただけたのが有難かったです。

導入後の気付き

リンクウィズ:導入されてからの効果はどのように実感されていますか?

伊藤氏:当初は外観検査を減らしたいと考えていましたが、人の目では見えない部分を確実に高精度で判定してくれるため、L-QUALIFYの検査装置は期待以上のものでした。メーカーさんの監査でも検査工程は大変気にされる部分です。ロボットによる検査は初だったため、メーカーさんからも検査工程だけもう一度見たいというオーダーがありました。リンクウィズさんと取り組んだデータを基にどのような原理で検証を行っているかを説明し、精度の高さを証明することができましたので、メーカーさんにも大変ご納得いただきました。

リンクウィズ:今後改善したい点などはありますか?

伊藤氏:現在は溶接のアンダーフィルという欠陥の判定を行っていますが、その他にも検査したいという要望が出ています。穴あきなどはレーザ溶接機から取り出した際に人が目で確認していますが、そういった部分も網羅した外観検査装置に進化していけるといいですね。最終的には検査の現場から人をなくすことが理想です。
コロナ禍において、間接社員であればリモートワークができますが、現場社員はそうはいかないのが実状です。今回のような取り組みを通じDXが進んで新たなことを生み出していけたらと思います。

目まぐるしく進歩するモノづくりの世界で、積極的に新しいものを取り入れて進化を続けるタチエス様。今後、レーザ溶接での生産も増えていくことでしょう。レーザ溶接開発を担当されている伊藤様にとっては、国内で実現した技術を海外でも同一品質で再現できるかなどの課題もあるというお話でした。更なる情報連携やDX化に、リンクウィズがお手伝いすることができるよう今後も研鑽を重ねてまいります。

株式会社タチエス

各国の評価基準への対応はもちろん、座り心地や走行による疲労性も考慮してシートを開発。軽自動車からトラックまで幅広い車種のシートを供給する数少ない独立系シートメーカーです。

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