溶接箇所の位置ズレに対応する
自動化を期待したロボット導入。
しかし…溶接箇所の位置ズレにロボットが対応できなかった…。
一般向けから業務用まで多種多様なポンプ製品の製造を行っている株式会社工進様は、1948年創業、世界約160の国と地域で事業を展開するグローバルカンパニーです。
これまで、様々な自動化にも積極的に取り組んでこられ数年前に海外向けポンプフレームの溶接工程に産業用ロボット設備を導入しました。しかし、導入したロボット設備ではワークのバラツキに対応できず自動化を諦めかけていたとの事。そんな折、リンクウィズ製品「L-ROBOT」に出会い、無事に溶接工程の自動化を実現しました。
今回はL-ROBOT導入の経緯から成果までを製造部生産課フレーム班の中川様と製造部生産技術の芝田様にお話をお伺いしました。
リンクウィズ:もそも、溶接工程にロボットを導入しようと思われた理由は何だったのですか?
中川氏:弊社は各種ポンプを製造しているのですが、溶接は手溶接で対応していました。手溶接という作業は熟練工が必要なのですが、貴重な熟練工はなかなか集まらないため採用が難しく、人からロボットへ変えていく必要性を感じていました。
そこで、数年前にロボット3台を購入しロボット溶接の設備を立ち上げたのですが、その時にはロボットによる溶接自動化は実現しませんでした…。
リンクウィズ:せっかく導入したロボットなのに自動化が実現しなかった理由は何だったのでしょうか?
中川氏:フレームとなるパイプを溶接した時に熱でひずみが出るのですが、その、ひずみによる溶接箇所の位置ズレですね。
ロボットは素直にプログラムされた動きを繰り返すのですが、ワークのバラツキに合わせて動きを補正してはくれない。
なので、ひずみにより溶接箇所の位置が変わってしまうと、そのままズレた箇所を溶接してしまいます。そのためにチョコ停が頻発し、溶接設備としては使えないという判断をせざるを得ませんでした。
熟練工の採用難という課題に対してのロボット導入だったにもかかわらず、肝心のロボットが活用出来ず、人による手溶接に頼らざるを得ない状況だった工進様。しかし、偶然の出会いが状況を一変させます。
ロボットに命を吹き込んだリンクウィズとの偶然の出会い。
リンクウィズ:位置ズレ補正に対応するためにリンクウィズ製品「L-ROBOT」をご導入いただいたのですが、そもそもリンクウィズを知ったきっかけは何だったのでしょうか?
中川氏:もともとは、今、申し上げたような問題を抱えていたタイミングで製造部長が偶然に展示会でリンクウィズさんを見つけて、私に「アポを取って話をしてみろ」と指示があった事です。
ロボットの補正に関しては、それまでタッチセンサなども試してはみたのですが、全然うまくいかなかった経験もあったので、三次元データを基にロボットの動きを補正するというリンクウィズさんの技術への期待は高かったですね。
リンクウィズ:リンクウィズのL-ROBOT導入にあたって、ポイントになった点は何だったのでしょうか?
中川氏:やはり、ズレに対してちゃんとロボットの補正が出来た事ですね。そこが一番のポイントです。
事前の説明やデモで、リンクウィズさんのソフトウェアを使えばロボットが動きを補正するという事は理解していたのですが、実際に火を出した溶接をさせてもかなりキレイに溶接が出来たのを目の当たりにした時にはビックリしましたし、感動しましたね。
実は溶接実験の時にはあえて、ズレの大きなサンプルを何パターンか用意したのですが、それでも全部キレイに溶接が出来たのは導入に向けての決定打になりました。
リンクウィズ:L-ROBOTの導入を決定されてから稼働まで苦労された点はありますか?
芝田氏:苦労した点は、センサの取り付けと取り回しですね。
最初はロボットにそのままセンサを固定していたのですが、それだとセンサがワークに干渉して物理的に溶接が出来ない状態になってしまったので、最終的にはツールチェンジャを導入し、溶接中はセンサをロボットから外すようにしました。
そもそも溶接の姿勢がかなり厳しかったので、センサを脱着しても補正精度に影響がないL-ROBOTは、運用性からも良かったですね。
展示会での偶然の出会いが休眠ロボットに命を吹き込むきっかけに。その後、L-ROBOTを導入しての成果はどうだったのでしょうか?
L-ROBOT導入により工数半減!さらに品質も安定!
リンクウィズ:導入後に実感した効果や成果はありますでしょうか?
中川氏:効果で言うと既存の設備とリンクウィズ製品を組み合わせる事で工数が大幅に削減できました。
もともとの工数が人だけだと、一人で作った場合、7分かかかっていたのが、3分半程度になりましたので半減ですね。
しかも、L-ROBOT導入後は溶接不良も一度も発生していないんですよ!同じ時間で多く生産出来て、品質も安定しているのですから、L-ROBOT導入の成果は大きいですね。
リンクウィズ:今後、リンクウィズに期待する事はありますか?
芝田氏:使っていて、不満があるわけでは無いのですが、強いて言うのならばもう少しシンプルな使い勝手になれば最高かなとおもいますね。
例えば順番にボタンを押していったら全てセットアップが完了するくらいシンプルになって本当に、誰でも使いこなせるようになれば良いなとは思います。ぜひ実現して欲しいですね!
一時は諦めたかけたロボットによる溶接自動化をリンクウィズ製品との出会いにより実現した工進様。新しい技術を積極的に取り入れ現場の課題を解決し成果へと結びつける事が出来たというお話でした。今後もリンクウィズは工進様の取り組みに伴走し、さらなるソフトウェアの改善で課題解決のお手伝いをさせていただければと思います。