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「まだうちには早い」と感じるのは赤信号。協働ロボットこそ働く現場の救世主

コラム
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世界中に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症ですが、日本では感染法上の分類が5類に引き下げられたことにより経済活動は活発になりつつあります。しかし、その一方で現場作業を行う人材や技術レベルの高い熟練者の人手不足問題はなかなか改善されず、早急な対応が必要だと言われています。

近年、こうした人手不足や生産ラインの問題を解決できる手段として協働ロボットの存在が注目されています。協働ロボットは産業用ロボットに比べて導入の壁が低いので、中小企業でも導入しやすく、現在抱えている問題の改善が期待できます。

この記事では、協働ロボットの導入がなぜ製造業や中小企業の救世主になるのかについてご紹介していきます。

人手不足の問題を解決できる

現在の日本は少子高齢化が進む影響から、若い世代の就業者が不足しています。特に人手不足が大きな課題となっている製造業は、いまだに「3K」のイメージが強く、若い人員が増えない要員ともなっています。しかし、このような「人員が増えない」「3Kイメージが強い」といった問題も、協働ロボットの導入が解消の一手となるのではないかと言われています。
また、協働ロボットは産業用ロボットに比べて安全性が高く、作業員と同じ環境の中作業を行うことができます。例えば1つの工程に作業員が2人必要な場合、協働ロボットを導入することで必要な作業員は1人だけになるため、本来一緒に作業するはずだった人材に他の作業を任せることができるようになります。

他にも、溶接現場では作業員の安全と健康を確保できるといったメリットもあります。溶接作業では強い光や人体に害を及ぼす煙などが発生し、作業中に火傷をしてしまうこともあります。3Kのイメージはもちろん、作業中の危険性などから溶接業でも人手不足が深刻化しているので、協働ロボットはまさに現場の救世主として活躍してくれることでしょう。

協働ロボットの導入コスト

製造業の現場では、主に「産業用ロボット」「協働ロボット」の2種類が使用されており、どちらも人に変わって作業を行うことで、人手不足を解消することができます。しかし、産業用ロボットは協働ロボットに比べて設備そのものの導入コストや導入に伴う学習コストも高いため、中小企業が導入するにはハードルが高いと感じてしまうようです。そこで、この章ではそれぞれの導入コストの違いについてまとめてみました。

安全柵や設置場所の固定が不要

協働ロボットは人と同じ作業領域で作業を行うことができますが、産業用ロボットは安全確保のために安全柵や囲いの設置が必須で、作業員とロボットを完全に分離させることが法律で定められています。
さらに、産業用ロボットは床面に確実に固定する必要があるため、設置場所選定の複雑化による工場全体のレイアウト変更などが必要になります。
一方、協働ロボットは必要最低限の設備で稼働できるため、安全柵を設けたり設置場所を固定する必要はありません。

ティーチングが作業員でも簡単にできる

この記事を読んでいる方はすでにご存知だと思いますが、単純にロボットを導入するだけでは活用することができません。導入したロボットを使って作業を行うには、ひとつひとつの動きをロボットに記憶させる必要があります。

こうしたロボットに必要な動きを記憶させることを「ロボットティーチング」と呼び、従来までは専門的な知識を持った「ティーチングマン」が必要とされていました。しかし、ティーチングマンをゼロから育成するのは難しく時間もかかるため、ティーチングが必要な場合は外注しなければなりません。
もちろん、協働ロボットにもティーチングは必要ですが、最低限の知識で簡単に動作を記憶させることが可能になっています。これは「ダイレクトティーチング」と呼ばれる作業で、ロボットアームを直接任意の位置に動かすことで作業に必要な動きを記憶させることができます。

協働ロボットを導入するなら知っておくべき注意点

これまでの内容から、協働ロボットの導入にどのようなメリットがあるのかがお分かりいただけたと思います。産業用ロボットに比べて導入コストが低く、導入後も簡単なティーチングで運用できますし、安全性も高く生産ラインを見直す上でメリットが豊富です。
しかし、そんな協働ロボットにも導入するのであれば事前に知っておくべき注意点がいくつかあります。メリットだけを見て導入した場合、想像していた状態とは異なる結果になってしまう場合もあるので、注意点をひとつひとつ見ていきましょう。

完全な自動化を狙うのは難しい

協働ロボットは、文字通り人と協働で作業を行うことを目的として作られたロボットです。そのため、協働ロボットのみの生産ラインの完全自動化はおすすめできません。協働ロボットでの完全自動化には、協働ロボット以外にも必要な装置の導入が求められるので、導入コストが高くなってしまいます。
場合によっては協働ロボットではなく、産業用ロボットの導入が必要だったという結果になる可能性があります。ですので、ロボットの導入を検討する場合には、必ず導入の目的を明確にして、どういったロボットが必要になるのかをしっかりと考えることが大切です。

早い生産ペースは期待できない

作業員と協働で作業をすることが目的とされている協働ロボットですが、基本的に作業中に人と接触しても怪我をしにくいスピードでしか動作しない仕様になっています。そのため、生産ペースの向上を期待して導入した場合は、理想の生産数に達せず満足できない結果になってしまいます。

もしも生産ペースを早くしたいのであれば、作業員との距離感でスピードが変わる協働ロボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。この協働ロボットは、作業員が近くにいる場合には作業スピードが低下し、作業員が離れると作業スピードが上がる仕様になっているようです。そのため、安全性は確保しつつも生産ペースを上げることが可能になります。ただ、純粋に生産ペースのみを重視しているのであれば、協働ロボットではなく産業用ロボットの導入をおすすめします。

危険性は少ないがゼロではない

協働ロボットは産業用ロボットに比べて安全性が高いとご紹介してきました。しかし、危険性はゼロという訳ではありません。そのため、導入するのであればしっかりとリスクアセスメントを行い、もしも安全面に問題が出ることが想定されるなら、しっかりとした安全対策を行わなければなりません。

基本的に協働ロボットの導入に安全装置は不要ですが、安全柵や囲いの設置など周辺設備をしっかりと整えて安全な現場づくりを行いましょう。

協働ロボットは中小企業の救世主になる

ロボット導入の大きな壁は導入コストと学習コストでしょう。しかし、協働ロボットは産業用ロボットに比べて導入コスト、学習コストを抑えることができるため、中小企業でも導入しやすくなっています。
そうした理由から、近年では協働ロボットの導入を進める中小企業が増えつつあります。協働ロボットを導入することで人手不足の解消や生産性の向上などが期待できるため多くの注目を集めています。
つまり、協働ロボットは製造業が抱える問題を解決してくれる救世主になると言えるでしょう。ですが、ロボット導入には目的を明確にすることが大切で、目的を明確にしないまま協働ロボットを導入してしまうと、想像していた結果と異なってしまうケースがあります。

この記事では協働ロボットが現場の救世主と呼ばれる理由や導入するメリットだけでなく、導入するうえで知っておくべき注意点をご紹介しました。もし導入を検討しているのであれば、ぜひこの記事を参考に現状や問題の改善に役立ててみてください。

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