TOPICS

製造業の業績動向と新型コロナウイルスが与えた影響とは?

コラム
公開日 : / 最終更新日 :

新型コロナウイルスの広がりで、あらゆる業界の働き方が大きく変わりました。影響を受けたのは私たち個人だけではなく、製造業も同じように影響を受けています。この記事では、製造業の発展のため、デジタル化にどのように取り組んでいくべきかご紹介します。

新型コロナウイルスの影響による製造業の業績動向と状況

新型コロナウイルス感染拡大は様々な業界に影響を与え、製造業も大きな影響を受けました。また、製造業の業績悪化は新型コロナウイルス感染拡大だけでなく、米中貿易摩擦や自然災害・天候不順や戦争などにもあります。

これら、さまざまな影響を受けた製造業の現状についてまとめてみました。現状把握は問題の改善に必要な情報であり、課題解決に導く重要な手がかりになるものです。それでは、新型コロナウイルス感染症をはじめ、複数の影響を受けた製造業の現状について見ていきましょう。

国内総生産(GDP)への影響

新型コロナウイルス感染拡大や米中貿易摩擦、自然災害や天候不順によって日本の製造業では国内総生産(GDP)の成長率が減少しています。2020年1~3月期の結果では、新型コロナウイルス感染症をはじめ米中貿易摩擦や天候要因などの影響により、売上高や営業利益は縮小しました。2023年現在のGDPは回復傾向にありますが、影響は尾を引きまだまだ完全回復とは言えないのが現状です。

また、回復の傾向があった設備投資の動向では、2019年以降から横ばいの状態が続き、今後の見通しに関しては国内外を問わず減少傾向にあるようです。このような結果から、業績や設備投資共に伸び悩んでいる状況が伺えます。

グローバルサプライチェーン寸断の危機

1990年代以降から製造業はグローバルサプライチェーンを形成し、海外での生産は全体の4分の1と生産比率は年々上昇し、自動車部品の輸入額は大きく拡大していました。しかし、世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大したことによってグローバルサプライチェーンが寸断の危機となっているようです。

このようなサプライチェーンの寸断リスクは2011年に発生した東日本大震災のときに経験しているため、地域的なリスク分散やパートナー工場の設備状況把握など、さまざまな対策を行っています。

ですが、不確実性が高まっている現状では新型コロナウイルス感染拡大の影響によってサプライチェーン寸断リスクが浮上しており、再構築や強靭化が必要な状況になっていると言われています。

自動車製造では生産ラインに影響大

製造業は他の業界に比べて中国との取引が多く、約3割は中国に依存していると言われています。自動車製造では構成部品の約37%が中国からの輸入となっています。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響から部品の輸入が困難な状況が続き、生産に大きな影響を与えました。

一部では中国拠点の運営が困難になったため、調達先を国内または第3国へ切り替える事態も発生しました。今後は生産ラインに影響を及ぼさないためには、いかに柔軟な対応を取れるかといった点が重要になると言われています。

製造業の現状を改善に導くデジタル化

新型コロナウイルス感染症は、製造業に大きな影響を与えていることがお分かりいただけたと思います。そして、今の製造業にはこのような問題を改善するために企業変革力が必要とされています。

その方法として挙げられるのが、IoTやDX(デジタル・トランスフォーメーション)といったデジタル化の推進となります。ここでは、昨今の様々な情勢による影響を改善に導く製造業のデジタル化についてまとめてみました。

競争力の源泉となるダイナミック・ケイパビリティの強化

新型コロナウイルス感染拡大の影響によってあらゆるシーンで不確実性が高まりました。それらを改善に導く戦略経営論「ダイナミック・ケイパビリティ」が注目されています。「ダイナミック・ケイパビリティ」は、カリフォルニア大学バークレー校のデイヴィッド氏が提唱し「環境や状況が激しく変化する中で、企業がその変化に対応して自己を変革する能力」と言われています。

そして、このダイナミック・ケイパビリティはデジタル化することでより強化することが可能で、膨大なデータ収集や連携、AIを使った予測・予知などが可能になります。

デジタル化が進まない日本の製造業

近年、製造業ではあらゆる課題の改善に効果的とされているデジタル化が話題となっていますが、残念ながら日本の製造業は海外に比べてデジタル化への取り組みが遅れています。デジタル化は企業変革の強靭化にとても有効とされていますが、諸外国に比べデジタル化が遅れている日本では生産性が伸び悩んでいるのが現状です。

日本の製造業そのものは他国に比べて優れていると言われていますが、人手不足や設備の老朽化など、多くの課題を抱えています。デジタル化の推進は課題の改善や業績向上にもつながります。

DX推進にはデジタル人材が必要

近年、製造業ではDXが推進されています。しかし、現在の製造業では現場の人手不足に加え、DXに必要なスキルを持ったデジタル人材も不足しています。こうした現状から、文部科学省は新学習指導要領の下でデジタル人材の育成を進めてきました。

2025年には約100人のトップクラス育成が計画されており、今後のデジタル人材不足を改善する取り組みが進められています。DXによってデジタル技術の活用が活発化すれば、新型コロナウイルス感染拡大によって製造業が受けた影響の改善が期待できます。デジタル人材の育成が成功すれば感染症の影響や人手不足などの課題を解決することができるのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症収束後の変化に求められる政策

一時に比べ収束しつつある新型コロナウイルス感染症ですが、製造業では短期・中長期の2つの目線で感染拡大後の政策が求められています。短期目線では足元の危機対応、中長期目線では、今後いつ起こるかわからない新たなウイルスでの影響や世界情勢の変化を見据えた取り組みが今後の製造業に求められると言われています。

具体的には資金繰り対応や需要変動の見極めとプランニング、グローバルオペレーションの再構築やオンラインでの販売ますに対応するためのバリューチェーンのあり方などが挙げられており、政策の論点として考えられているようです。

製造業に大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染拡大はGDP減少や3年間の見通し減速、グローバルサプライチェーン寸断のリスクなど影響をがありました。自動車製造では海外との取引が多いため、製造に必要な部品の輸入が困難になり生産数の減少、完成車の納期遅延による消費者への影響が今もなお続いています。

新型コロナウイルス感染拡大による影響は多岐にわたりますが、DXによって影響を最小限に抑えることができます。また、DX化のさらなる加速へ向け、国を挙げた人材育成も進められています。
過渡期である今、すぐに改善・向上といった結果を出すことは難しいですが、現在進められている政策によって今後の製造業はさまざまな影響を乗り越え、大きく進化することができるのではないでしょうか。

産業用ロボットに関するお困りごとなら お気軽にご相談ください。

フォームからのお問い合わせ
お問い合わせフォーム
電話でのお問い合わせ
053-401-3450