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違いは3つ!デジタルツインとシミュレーションについて解説します

コラム
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近年、IoTが普及するとともに注目を集めている言葉「デジタルツイン」。これまで行われていたシミュレーションと比較して、より精度の高い結果を得られるはもちろん、活用することでさまざまなメリットを得ることができる技術だと言われています。

しかし、デジタルツイン自体まだまだ認知度が低く「具体的にどんな技術なの?」「シミュレーションと何が違うの?」といった疑問を感じている方が多いようです。

そこで、今回はデジタルツインについて、シミュレーションとの違いや活用することで生まれるメリットについてご紹介していきます。また、デジタルツイン技術をすでに活用している事例もあるので、違いやメリットと合わせて参考にしてみてください。

「デジタルツイン」ってどんな技術?

近年、よく耳にする「デジタルツイン」ですが、主に製造業を中心に注目を集める言葉だと言われています。そんなデジタルツインですが、具体的にどのような技術なのかを理解できていますか?

そこで、ここでは基礎知識としてデジタルツインの定義や活用事例などをまとめました。「何となく理解しているけど詳しいことは分からない」「どんなところで活用されているの?」という方は、以下の内容を参考にしてみてください。

現実空間で取得した情報を仮想空間で再現

デジタルツインは英語表記で「Digital Twin」と表記し「デジタル空間の双子」という意味を持つ言葉です。具体的には、現実空間で取得したデータ・情報を複製して、それらを仮想空間に再現する技術です。

このデジタルツインは、シミュレーションに近い言葉ですが、似ている部分と異なる部分があります。

そもそも「シミュレーション」とは、現実空間で起きていることを他の場所で再現することを言います。他の場所というのは、仮想空間も含まれていますが、実在する安全性が確保された実験場などもその1つです。

つまり、デジタルツインとシミュレーションは全く異なるものではなく、デジタルツインはシミュレーションの技術の1つなのです。そのため、「どちらも同じじゃない?」「違いが分からない」という方が多いのではないでしょうか?

また、デジタルツインは現実空間をリアルタイムで仮想空間に再現することが可能です。そのため、従来のシミュレーションに比べて、早くより精度の高い結果を得ることができます。

はすでに活用されているデジタルツイン

デジタルツインは国内だけでなく海外でもすでに活用されています。ドイツ最大の電機メーカーとして知られる「シーメンス」では、デジタルツインを活用することで品質の高い製造を効率よく行うプロセスを構成。

航空機エンジンメーカーの「GE・アビエーション」では、リアルタイムでエンジンの稼働状況をチェック、気象状況や航空機の状態、鳥類との衝突を想定したデータ解析による高い安全性を持つエンジンの開発などに活用しています。

また、国内では行政がデジタルツインを活用しているケースもあります。

渋滞予測や災害対策シミュレーション、都民の情報把握などをリアルタイムで行い、「スマート東京実践戦略~東京版Society 5.0の実現に向けて~」という取り組みに役立てているようです。

デジタルツインとシミュレーションは違う?

デジタルツインは現実に存在するものを仮想空間に表現する技術です。
そのため、「シミュレーションと何が違うの?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか?

シミュレーションは業界問わずビジネスには欠かせないものなので、違いがあるのであれば、どういった点が異なっているのかを理解しておくことが大切です。

デジタルツインとシミュレーションの違いは、大きく分けて3つあります。それでは、どのような違いがあるのか一つひとつ見ていきましょう。

その1:現実空間と仮想空間の連動

まず通常のシミュレーションの場合、可能な限り想定できるシナリオを基にした仕様設計・実験などを行います。また、実際にシミュレーションを行う際には人の手が必要になりますし、場合によっては専用の設備を準備しなければなりません。

一方、デジタルツインは現実空間のリアルタイム情報を仮想空間に連動させてシミュレーションを行います。想定したシナリオが基ではなく、現実空間でおきているリアルな情報を基としているので、現実的なシミュレーションが可能となります。

その2:リアルタイム性の向上

通常のシミュレーションでは、実際に実験を行いその結果によって対策や改善などを行います。そのため、実行~結果が出るまでに時間や費用を要してしまうので、タイムラグによるリアルタイム性の低下という欠点があります。

一方、デジタルツインでは現実空間と連動したリアルな情報を基にシミュレーションを行います。現実を基にしたあらゆる予測を想定し、仮想空間での実験が可能なのでリアルタイム性が高いという違いがあります。

その3:具体的かつ共有可能なアプローチ

現実空間で発生する可能性を考えた事象を、仮想空間上でリアルタイムに予測可能になります。これらはネットワークを共有して行われているので、現実空間への具体的かつ共有可能なアプローチが可能になります。

また、今後発生する可能性がある問題の回避なども可能だと言われています。これは通常のシミュレーションで行うことが難しく、大きな違いの1つだと言えるでしょう。

デジタルツインを活用する5つのメリット

これまでの内容から、デジタルツインとシミュレーションの違いについてお分かりいただけたと思います。また、同じシミュレーション技術ではあるものの、特徴を見てみるとそれぞれには違いがあることも理解できたのではないでしょうか?

ここでは、そんなデジタルツインを活用する5つのメリットについてまとめてみました。

設備保全の質が向上

デジタルツインは現実空間のリアルタイムな情報を仮想空間に反映させることができます。そのため、設計上のミスや予期せぬエラー、不具合などの詳細データの取得が可能になり、デジタルツインの活用によって設備保全の質を向上させることが可能です。

製造コストの削減

実際に試作品の製造を行うとなると、さまざまな面でコストが発生してしまします。しかし、デジタルツインを活用すれば仮想空間で製品の試作や実験が可能になるので、製造コストを削減できるようになります。

製造工程全体の安全性向上

仮想空間でシミュレーションができるため、試作品を製造やテストを行うことができます。場合によっては、怪我や事故を招くようなシミュレーションも仮想空間上で行うことが可能です。製造工程全体の安全性が向上するのは、デジタルツイン活用のメリットと言えるでしょう。

リードタイムの短縮

製造工程をリアルタイムで把握できるので、改善点などの発見・対応を効率よく進めることができます。つまり、生産管理を最適化することや業務効率の向上が期待でき、リードタイム短縮につながります。

充実したアフターサービスの実現

デジタルツインは製造工程~出荷までのシミュレーションだけでなく、出荷後の稼働状況をモデリングすることができます。つまり、適切なタイミングで製品の交換・修理などを実施できるため、充実したアフターサービスの実現が可能となります。

将来的にデジタルツインの活用は広がる

デジタルツインは製造業を中心に注目を集めていると言われていますが、さまざまな業界でも適用できるシミュレーション技術です。日本ではすでに行政が活用しているとご紹介しましたが、国内での導入事例はまだまだ少ないのが現状です。
しかし、活用することでコスト削減やリードタイム短縮などさまざまなメリットを得ることができるので、将来的にデジタルツインを活用する業界は広がっていくことでしょう。

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