今さら聞けない…垂直多関節ロボットの特徴と構造について解説!
近年、さまざまな業種や企業で導入が広がる「垂直多関節ロボット」をご存知でしょうか。垂直多関節ロボットとは、溶接、組み立て、検査、梱包などの作業を高精度かつ高速にこなせる、汎用性が高い産業用ロボットの一種です。工場のFA化や省人化を図るうえで、カギとなるロボットといわれています。
本記事では、「垂直多関節ロボットは他のロボットと何が違うのか」「垂直多関節ロボットの導入メリットは?」といった疑問にお答えします。垂直多関節ロボットの特徴を知りたい方や導入を検討している担当者の方はぜひ参考にしてみてください。
垂直多関節ロボットの特徴
垂直多関節ロボットは、人の腕のような形状が特徴の産業用ロボットの一種です。垂直多関節ロボットの登場によって、これまで人の手に頼っていた多くの難作業をロボットに置き替えることが可能になりました。動力には数個のモーターが使われ、人により事前に記憶させた動きを再現します。
多軸構造により腕のような動作を実現
垂直多関節ロボットは関節数が他のロボットに比べて多く、より複雑な作業をこなせる構造になっています。軸数は4〜6軸が主流ですが、最近は7軸以上のものも登場しています。分かりやすく例えると、軸数が6軸あれば人の片腕と同様の作業が可能です。ロボットで指定の位置まで移動する際、基本的に1方向にしか関節が動かせないロボットの関節はX軸・Y軸・Z軸の3軸が必要になります。加えて、先端部分で角度を表現する には、さらに3軸が必要となり、合計6軸が必要となる計算です。
そうすると「玩具や人形などで使われるボールジョイントを使えばいいのでは?」と思うかもしれませんが、ボールジョイントは任意の位置で固定し続けることが難しいため、産業用ロボットではあまり使われません。
プログラミングや補正に「ティーチングペンダント」を用いる
産業用ロボットでは、はあらかじめ動作を記憶させる「ティーチング」という作業を行う必要があり、制御端末の「ティーチングペンダント」を利用するのが一般的です。ティーチングペンダントはラジコンのコントローラーのような形状になっており、軸やエンドエフェクタ(先端に取り付ける溶接部など)の角度、連続した動きの軌道などを、ラジコンのように実際にロボットを動作させながら決めていきます。
ティーチングの精度が製造品質に関わるため、非常に高度な技術が必要になります。しかし近年、産業用ロボットの導入数増加に伴いティーチングマンの不足や育成が大きな課題となっています。
職人の技をロボットで
これまでの産業用ロボットでは、一部の熟練工の技術を再現するのが困難でしたが、垂直多関節ロボットの導入によって、これまで職人やベテラン社員に頼っていた溶接や搬送、組み立てなどの作業を、ロボットに置き換えることが可能になりました。また、熟練の職人でも起こり得るヒューマンエラーの回避にも産業用ロボットを役立てることができます。基本的に産業用ロボットは指定した動作を繰り返すことが可能で、24時間稼働も可能になるため、生産性を飛躍的に向上させることができます。
省スペース&全方位で稼働可能
垂直多関節ロボットは人の腕のような構造のため、安定した足場があれば比較的容易に設置が可能です。可動範囲に対する設置面積も少ないため、製造ラインをレイアウトしやすいという特徴があります。また、ほぼ360度全方位に稼働できるため、将来的に製造ラインのレイアウト見直す際や設備入れ替え等による再設定も容易です。ちなみに、7軸以上の多軸タイプを活用すれば、障害物があっても回り込んで加工することが可能になります。
ソフトウェアと組み合わせて「高度自動化」
近年、垂直多関節ロボット本体と高度なソフトウェアやAIを組み合わせる取り組みが加速しています。これまでティーチング作業や段取り替えにはティーチングマンを欠かすことができませんでした。しかし、最新の技術によって自動でティーチングを行ったり、アシストをおこなう機能が登場しました。これらの技術によって生産効率が大きく向上することが期待されています。
垂直多関節ロボットを導入・活用するには
今回は、垂直多関節ロボットの機能性や特徴を中心にご紹介しました。
垂直多関節ロボットの特徴のまとめ
- ティーチング工数の削減により、生産効率を大幅に向上
- 多軸構造により、複雑な作業が可能
- FAや省人化に向けて欠かせないツールとなっている
垂直多関節ロボットを導入することで、省人化や品質の改善、生産コストの低減などを高次元で達成できます。課題と言われていたティーチングについても、ティーチングを簡単に行うことができる新技術が登場したことによって、ますます導入しやすい環境が整ってきました。自社で垂直多関節ロボットがどのように活用できるのか、一度検討してみてはいかがでしょうか。
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- ティーチング工数の削減により、生産効率を大幅に向上
- 熟練のティーチングマンを必要とせず、人員の最適化を実現
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