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従来の垂直多関節ロボットと協働ロボットの違いとは?

コラム
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近年、作業の自動化や品質向上、人手不足の解消などを目的としたロボットの導入が製造業を中心に進められています。一口にロボットと言ってもさまざまな種類がありますが、最も導入が進んでいるのが一般的に「産業用ロボット」と言われる垂直多関節ロボットで、その中でも「協働ロボット」が注目されています。
従来の垂直多関節ロボット(以下「垂直多関節ロボット」)と協働ロボット、それぞれにどのような違いがあるのかを知っていますか?実際にロボットの導入を検討している方の中には、これらロボットの違いを知らない、または勘違いしている方が多いと言われています。

この記事では、そんな垂直多関節ロボットと協働ロボットの大きな違いについてご紹介していきます。「ロボットの導入を検討しているが、それぞれの違いが分からない…」という方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

垂直多関節ロボットと協働ロボットは何が違う?

同じ製造業で活用されている垂直多関節ロボットと協働ロボットですが、多くの方は「同じようなマシン」だと思われているかもしれません。しかし、これらのロボットには大きな違いがあり、目的によって使い分けが必要になります。

作業を自動化する「垂直多関節ロボット」

垂直多関節ロボットは「作業員の代わりとなって製造を行う」いわば作業の自動化を目的として活用されています。ほぼすべての製造工程をロボットに行わせることができるので、人手不足の解消や作業員に危険が伴う作業ができるといった特徴があります。
また、垂直多関節ロボットはさまざまな作業に適応させるために、人の腕に似た形状をしているのも大きな特徴の1つで、人が行っていた作業の置き換えはもちろん、人が動かすことのできないような大きなものを動かすことも可能です。
しかし、法律でロボットの周りに安全柵の設置が義務付けられているため、ロボット本体以外の設備投資が多く、導入コストが上がってしまい中小企業にはハードルが高いと言われています。しかし、長い目で見れば人件費削減や作業員の負担軽減、品質の向上や均一化などの様々なメリットが期待できます。

作業員と協働で作業を行う「協働ロボット」

協働ロボットとは、その名の通り人と一緒に作業を行うことができるロボットのことです。この協働ロボットは人だけでは危険な作業や、重労働となる作業の「補助」を目的として活用されています。 そのため、全てがロボットで構成された製造ラインではなく、人の介在が必要な製造ラインの作業効率向上や作業負担の軽減を行うことができます。また、協働ロボットは作業員と協働での作業が前提に作られているため、垂直多関節ロボットに比べて安全性が高いといった特徴があります。

それぞれの大きな違いは設計内容

これまでの内容から垂直多関節ロボットと協働ロボットの特徴についてお分かりいただけたと思います。しかし、特徴はもちろんですが一番知っておくべきポイントはそれぞれの違いです。

まず垂直多関節ロボットですがロボット自体が大型になります。サイズや重量の大きなものの搬送、溶接や塗装と言った作業を行うことを前提として設計されており、安全確保のためにロボットの周囲には安全柵の設置が必要になります。
一方で協働ロボットは人と協働して作業ができるよう安全性の高い設計となっているため、周辺設備も必要最低限のコンパクトな構成となっています。
ロボットを動作させるためには動作を記憶させる「ティーチング」といった作業が必要になります。垂直多関節ロボットの場合は新しい動作が加わる度にティーチングペンダントを使ってティーチングを行う必要があります。しかし、協働ロボットの場合、実際に手でロボットを動かしてティーチングする「ダイレクトティーチング」という手法が可能なので追加動作があっても直感的に操作することができます。

それぞれのロボットには特徴があり、導入にはさまざまな面でコストがかかります。そのため、違いを知っておくことで、目的に適したロボットの選定ができ、導入に失敗するリスクを軽減することができます。

導入・活用事例

ここでは、垂直多関節ロボット・協働ロボットの導入や活用事例をご紹介します。それぞれのロボットがどのような現場で活用されているのか、どのような効果があるのかを知ることで、どちらのロボットを導入すべきなのかをイメージすることができます。

垂直多関節ロボットの導入・活用事例

とある食品工場では、従業員の多くが女性であるにも関わらず重量のある荷物を高い場所へと積み上げる過酷な作業を行っていました。そこで、垂直多関節ロボットを導入し、これらの重労働をロボットに置き換えることで従業員の負担を軽減することができました。さらに、作業スピードが約1.25倍も向上したという結果も出ています。
産業用ロボットは自動車業界でも導入されており、サイズが大きく重量のある自動車部品の溶接や塗装などの作業をロボットが行うことで、24時間体制での生産を可能にしています。
これらの事例から、従業員の安全確保や人手不足の解消、品質や生産性の向上を求めているのであれば、垂直多関節ロボットの導入が適していることが伺えます。

協働ロボットの導入・活用事例

とある食品工場ではラベルを張り付けを行う工程に協働ロボットを導入・活用しています。
従来は生産した食品に賞味期限を記載したラベルの貼り付け作業から出荷作業まで、全て作業員の手作業で行われていました。
そこで単調作業であるラベルの貼り付け工程に協働ロボットを導入したところ、貼り付けミスが軽減し生産ロスを大幅に削減することに成功しました。また、別の製造業では製造した商品の箱詰めや積み込み作業に協働ロボットを活用しているといった事例があります。
箱詰めされた重量のある商品を協働ロボットに仕分けや積み込み作業を行わせることで、作業員の肉体的な負担を軽減することができています。また、ロボットと一緒に作業を行うようになってから、同じ労働時間内で生産性・生産量が向上したという結果が出ています。

これらの事例から、協働ロボットは作業員の手助けとなる作業を目的とした導入に適していることが伺えます。また、小型な協働ロボットは必要最小限のスペースを確保できれば設置できますし、安全柵の設置が不要なので低コストでロボットの導入を検討している場合にも適していると言えるでしょう。

必要な作業に応じたロボットの導入が大切

「ロボットなんだからどれも同じでしょ?」と思われる方も多いとは思いますが、垂直多関節ロボットと協働ロボットでは特徴、設定や導入目的が異なります。そのため、それぞれの違いを知っておくことで、効果的なロボットの活用が可能になるでしょう。

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