なにが違うの?協働ロボットを導入すべき理由を解説!
近年、製造業をはじめさまざまな業界で産業用ロボットの導入が進んでいますが、その中でも近年導入数がが増えているのが「協働ロボット」と言われるタイプのロボットです。協働ロボットは従来の垂直多関節ロボット(以下「産業用ロボット」)とは一味違った使用用途で、安全性も高く、導入ハードルが低くなっていると言われています。
今回の記事では協働ロボットを導入すべき理由をご紹介。導入に躊躇している、導入メリットがイマイチわからないという方は、ぜひこの記事を参考にして協働ロボットの導入を前向きに検討してみてください。
協働ロボットは産業用ロボットと何が違う?
人材不足や、低コスト化などによって産業用ロボットの導入は右肩上がりですが、並行して協働ロボットの導入も進んでいると言われています。これには、産業用ロボットとの違いが理由となっているようですが、一体どのような違いがあるのでしょうか?
ヒトと一緒に作業できるロボット
産業用ロボットはヒトの代わりに作業をおこなうのが主な仕事になります。安全性を確保するために安全柵の設置が義務付けられており、作業工程に人が立ち入ることができず、ワークをセットしたら作業が終わるまでロボットに近づくことはできません。
一方、協働ロボットはその名の通り、ヒトと一緒に作業をおこなえるように設計されたロボットです。主な仕事はヒトの作業を手助することで、安全性も高く安全柵の設置も不要となっています。
中小企業でも導入しやすい
産業用ロボットは安全性確保のために安全柵の設置や架台、周辺設備といった「場所をとる」要素が多く、設所場所の確保が必要になります。そのため、導入コストはもちろん、環境整備にも時間がかかることから、導入ハードルが高いと言われていました。
しかし、協働ロボットはヒトと同じ現場で作業ができる安全な設計になっていますし、比較的小型なロボットなので設置スペースを広く確保する必要がありません。こうした理由から導入のハードルが低くなったと言われ、中小企業でも導入を進めているところが増加していると言われています。
協働ロボットを導入すべき理由
産業用ロボットを導入する企業は工場の自動化を目的としており、これまでは産業用ロボットによる自動化が主流となっていました。
そして、協働ロボットの登場によって、さらに一歩進んだ自動化が可能になると言われています。そんな協働ロボットですが、導入するのであれば今こそがそのタイミングだと言われているのですが、これにはどのような理由があるのでしょうか?
課題となる人手不足の改善
近年、少子高齢化の影響により人材を確保することが難しい状況が続いています。そのため、製造業では慢性的な人手不足が大きな課題となっています。
そこで、協働ロボットの登場によって「産業用ロボットに任せるほどではないけど自動化したい」作業をロボットに任せることができるようになりました。これにより、人手不足の改善や労働負担の軽減を実現することができるようになります。協働ロボットは製造ラインでの重量物の搬送などに活用されており、作業員の負担を軽減することが可能になっています。
労働時間、人件費の削減
ヒトによる労働時間は法律によって定められていますが、ロボットの労働時間には制限がありません。今までヒトがおこなっていた作業の一部を協働ロボットに任せることで、1工程にかける人件費が削減でき、生産効率が上昇し労働時間の減少にもつながります。
さらに、協働ロボットに作業を任せることで、手の空いた作業員は別の作業や、新しい業務を行うことができるようになります。
導入には大きなコストが発生してしまいますが、長い目で見ると導入コストを上回るメリットが期待できます。
品質の均一化
ヒトの手で作業を行った場合、例え同じ作業であったとしても品質に多少のバラつきが出てしまうのは当たり前です。しかし、協働ロボットであれば品質にバラつきが出ることがなく、品質を均一化することが可能です。
新型コロナウイルスの感染対策
近年、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、工場内でもヒトの接触をできるだけ少なくする取り組みを行っている企業が増えており、企業によっては交代制にして少人数による作業を行っているようです。
しかし、少人数の生産体制では今後増加するであろう需要に「生産数が追い付かなくなってしまうのでは?」と危惧する企業も少なくはありません。かと言って、生産数を維持するために通常の生産体制に戻してしまうと3密を防ぐことができなくなってしまいます。
そこで、少人数の体制でも協働ロボットを活用することで生産数を維持することが可能になります。そのため、製造業が協働ロボットを導入するのであれば、今こそがそのタイミングだと言えるのかもしれません。
協働ロボットの導入にある課題
これまでの内容から、協働ロボットを導入すべき理由についてお分かりいただけたと思います。しかし、導入には3つの課題があると言われているので、検討されている方はどのような課題があるのかも把握しておくことが大切です。
必要性の理解
ロボットの導入はヒトの作業を奪ってしまうため、現場から受け入れられないこともあります。そのため、現場には導入する理由、目的、メリットなどをしっかりと説明し、「なぜ協働ロボットを導入するのか」を理解してもらう必要があります。
ロボットを使いこなせる人材の育成
協働ロボットは産業用ロボットに比べ、比較的導入しやすいロボットではありますが、知識ゼロで明日から導入できるわけではなく、導入しただけで効果的に活用することはできません。
そのため、協働ロボットをしっかりと活用できる知識と技術を持った人材の育成が必要になります。
システムトラブル発生時の対応と対策
協働ロボットといえども作業中に動作が停止したり、誤作動を起こすなどのシステムトラブルが発生する場合があります。そのため、トラブルが発生した場合の適切な対応方法を事前に把握し、1秒でも早く正常に稼働できるようにしておかなければいけません。トラブルが発生すると生産ラインをストップさせなければならないので、事前に十分な対策を練っておくことが重要です。
協働ロボットの導入はメリットが大きい
協働ロボットの導入には、人手不足の改善や作業員の負担軽減、生産性や品質の向上など、さまざまなメリットがあります。これらは今の製造業にとって大きな要素になるので、協働ロボットは導入する価値のある設備だと言えるでしょう。
また、新型コロナウイルス感染拡大の防止・予防にも効果的です。導入コストはかかりますが、製造業にとってより良い効果を与えてくれるので、導入に躊躇していた方はこれを機会に前向きに検討してみてはいかがでしょうか?