製造業の大きな課題とDX推進で解決する方法
「ものづくり」が世界レベルだった日本ですが、中国や東南アジアへの工場移管や技術継承の問題、少子高齢化といった問題に直面しています。
さらに、日本は世界的に進むDXの波に乗り遅れています。では、これから日本の製造業はどのように戦っていけばいいのでしょうか?
この記事では、日本の製造業の課題を明確にしてDXを推進していく方法をご紹介します。
日本の製造業の現状を把握するための視点
国内総生産の約20%を占めている製造業ですが、今後大きな変化が現れると言われています。ここでは、そんな日本の製造業に現れる変化について4つの視点でまとめてみました。
新型コロナが経済状況に大きく影響している
新型コロナウイルス感染拡大は世界経済に大きな打撃を与えました。2020年8月17日に内閣府が公開した2020年4-6 月期GDP速報(1次速報値)では▲7.8%となっており、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって3四半期連続のマイナス成長となりました。
その後はプラス成長が期待され実際にGDPには伸びが見られたのですが、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準に戻ることはできていないようです。自動車業界では部品の調達が思うように進まず、国内の製造拠点で生産の調整が行われ、今も尚エンドユーザーへの納期遅延が発生しています。
慎重な生産設備投資
以前の製造業は老朽化した生産設備の買い替えや、環境投資に積極性が見られていました。しかし、コロナ禍となった2019年以降は設備切り替えが進まなくなってしまいました。というのも、設備の増築や更新には費用がかかり、コロナ後の国内需要に対して今すべきことなのか慎重になっているからです。
労働人口の減少
これは製造業に限ったことではありませんが、日本は少子高齢化が加速しており業界問わず労働人口の減少が問題となっています。近年、日本政府は高齢者や女性など働き方に制限がある人でも働きやすい環境を整えて、少しでも労働力を確保する方針を打ち出しています。
しかし、環境整備を推進しても期待通りの結果が現れていないのが現状です。労働人口の減少は製造業をはじめさまざまな業界でも共通している課題で、人材確保の難易度はどんどん高くなっています。
世界的に深刻さが増す経済状況
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業活動はもちろん、国境を超えた人の往来も制限される日々が続き、世界中の経済に影響を与えました。
日本の製造業は低コスト生産を可能にするために国内外に製造拠点を設けていますが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって商品の価格と品質のバランスを保つことが難しい状況になり、今もその影響は残り続けています。
日本の製造業の課題
日本の製造業の状況は前章でご紹介した内容からお分かりいただけたと思います。それでは、現在抱えている日本の製造業の課題にはどのようなものがあるのでしょうか?ここでは、日本の製造業が抱える課題をまとめました。
感染症や自然災害による打撃
日本の製造業は原材料や部品の調達、製造や販売といった一連の流れをグローバル化してきました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大や豪雨、地震などの自然災害が経済に大きなダメージを与えており、これまでに形成してきた製造業のグローバル化が断ち切られる危険性があると言われています。
少子高齢化による人材不足
日本ではさまざまな業界で人材不足が深刻化している状態です。少子高齢化によって労働人口が減少しているため、技術伝承される人員がおらず専門的な知識や技術を持つ人材の育成が進んでいません。
また、新型コロナウイルス感染拡大の影響によって労働環境が大きく変わったことも原因のひとつとなりました。
先進国に比べてIT化が遅れている
近年、さまざまで業界でインターネットやデジタル技術を活用するIT化が推進されており、先進国ではIT化が当たり前に進んでいます。しかし、日本ではIT化を進めるためのコスト確保の難しさや、IT化そのもを理解してもらえないといった理由から導入が遅れています。さらにIT化を進めたくても専門的な知識を持った技術人材の不足もIT化が遅れている理由のひとつです。
製造業の課題をDX推進で解決する方法
DXはビジネスモデルを変革させることができると言われています。そのため製造業が抱えている課題の解決策のひとつとしてDXが推進されています。しかし、コストをかけてDXを実行しても十分な効果が出ないケースが多い傾向があります。そこで、ここでは製造業が抱える課題をDXで解決する方法をまとめてみました。
業務の自動化
DXによって設計から製造、販売に至るまで全てをつなげることで、業務全体の可視化が行えるようになり業務効率が大幅にアップします。これにより人材リソースの最適化や開発スピードの向上が見込まれ、より高品質な製品の製造・販売を実現できます。
また、人材不足は製造業が抱える大きな課題のひとつですが、DXによって単純な人手不足だけでなく技術者不足の改善にも効果が期待できるでしょう。
継続的なビジネスモデルの変革
企業はさまざまなユーザーから求めらる製品やサービスを常に把握することが必要とされています。つまり、継続的 にビジネスモデルを確変することが求められているのです。
また、今求められている製品やサービスを提供するだけでは満足できる効果を得られるとは限りません。顧客ニーズに合った製品を製造・販売しながらも、今後求められるニーズを察知し続けることが重要なポイントです。
DXを進めれば膨大なデータの収集・分析が可能になる他、リアルタイムなデータ活用も可能になるので、ビジネスモデルの継続的な変革が可能になり課題の解決にも繋がるでしょう。
DXの推進が日本の製造業の課題を改善に導く
日本だけでなく世界中の製造業はさまざまな課題を抱えています。そうした課題を解決する方法として推進されているひとつが今回ご紹介したDXです。そのため、特に先進国ではDXが進められていますが、日本では取り組みが遅れているため、いまだ課題の改善に苦戦しています。
DXを進めても思うような効果があげられず、課題の改善に繋がらないケースもあるようです。そんな日本の製造業がDXを成功させるためには、まず自社の状況整理を行い抱えている課題を明確にすること。そして、その課題を解決するための効果的なデジタル技術の導入が成功させるための重要なポイントです。