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砂型検査もロボットで。検査工程を自動化する方法

コラム
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金属加工の中でも古くからある鋳造ですが、その方法の一つとして型の材料に砂を使った「砂型」があります。コスト削減や柔軟性が高い砂型鋳造は、その利点から現在でも広く使われています。

砂型鋳造には特有の問題が存在し、それが製品の仕上がりに大きく影響します。例えば、砂型に欠けがあると製品に不要な突起が発生してしまいす。そのため、品質維持のためには砂型検査が重要な項目になります。しかし砂型はその性質上脆く、接触型の検査機が使えないため必然的に従業員による目視検査となってしまいます。

人による目視検査は検査員の体調や集中力、検査環境によって精度が変わってしまうため、高い精度での品質維持が難しくなってしまいます。この問題に対応する解決策として、ロボットを活用した非接触検査工程の自動化が注目されています。しかし、この新しい手法はまだまだ実績が少なく、参考となる資料も少ないのが現状です。

本記事では、このような問題を解決すべく、砂型検査においてロボットを用いた非接触での検査工程自動化の方法について詳しく解説していきます。

そもそも「砂型」とは?どんなメリットがあるの?

砂型とは砂を材料として作った型のこと

「砂型」とは文字通り砂を材料とした型のことで、これにより砂型鋳造が可能となります。その製造過程では、砂型作成用の木型・金型・模型、そして砂型を収める型枠を利用します。この砂型は上下に分かれており組み合わせることで複雑な形状を作り出すことが可能となります。

製造工程は、上型と下型を合わせて溶かした金属を流し込み、冷却・凝固させることから始まります。その後、砂型を壊して中の金属を取り出し、バリ取りを行って本来の形状に仕上げます。

砂型を使用するメリット

砂型を使用する最大のメリットは、複雑な形状の製造が可能であることが挙げられます。例えば、中心部に空洞を持つ製品であっても、「中子(なかご)」と呼ばれ型を使用することで製造が可能になります。この特性により、単純な形状だけでなく中に空洞がある形状も作り出すことができます。

その他のメリットとしては、初期投資が安く、鋳型のコストが低いこと、試作期間が短く大きな形状にも対応できることがあります。

砂型を使用するデメリット

砂型鋳造にはいくつかのデメリットが存在します。具体的には、上下の型がずれてしまうことや、金属が凝固した際の収縮により寸法精度が下がる可能性があります。また、鋳造時にガスや空気を取り込んでしまい、製品に穴や欠けが生じ、鋳肌が荒くなることもあります。

さらに、1つの製品を製造する度に砂型を壊す必要があるため、ランニングコストが高くなります。また、砂型製造に使用する木型は、繰り返し使うことで摩耗や傷が生じ、製品の品質に悪影響を与える可能性があります。このため、大量生産には低コストの木型ではなく、コストは高いが一つの型で多くの成型が可能な金型を使用することもあります。

砂型検査ってどんな検査?

砂型検査とは?

砂型検査とは、砂型の形状・強度・密着性・寸法精度などの検査をおこないます。

砂型は型を組んでしまうと、外側から内部の形状確認ができないため、流し込んだ金属が凝固し取り出してみなければ最終的な不具合を確認することができません。そのため、事前に砂型を目視検査することで不具合を最小限に抑えることができるのです。

目視による砂型検査には限りがある

砂型検査がどういったものなのかは上記の内容からお分かりいただけたと思います。しかし、人の目で確認する目視検査には限界があり、実際には加工後に砂型由来の不具合が見つかることもあります。最悪の場合、市場への流出後に不具合が発覚することもあるため、鋳造前の砂型検査の重要性は非常に高いと考えられています。

ですが、砂型は金型に比べて脆いという弱点があるため、検査を行う際には非接触で行われることからとても難しい検査となっています。そのため、作業員の所感としては「どこに不具合が出てくるかわからない」というものがあるようです。

人の目に頼らないロボットによる砂型検査

より有効な砂型検査として非接触での検査が可能となる3Dスキャナを使った検査が注目されています。目視検査では難しい砂型の形状変化や内部欠陥の発見が期待できます。

リンクウィズではまさに、3Dロボット検査システム「L-QUALIFY」を使用した非接触での砂型検査ソリューションを提供しています。独自の三次元形状処理技術によって産業用ロボットと3Dスキャナを使った非接触での砂型検査を実現しました。

職人頼りの検査工程から脱却し、ロボットによる自動形状検査が高い精度で不具合を検出できるようになります。

砂型検査が抱える問題はロボット導入で改善

複雑な形状の製造が可能な砂型鋳造ですが、「砂」という材料の性質上、脆さや型のズレが製品の品質低下に反映されてしまいます。品質低下を防ぐために目視検査が行われますが、人の目で確認できる範囲や精度には限りがあります。
ですが、3Dスキャナと産業用ロボットを使用すれば、目視検査よりも高精度な検査が可能になり、検査の自動化によってこれまでよりも生産効率や品質向上が期待できます。

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