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スマート工場実現へのシステム導入3つのステップ

コラム
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スマート工場実現へのシステム導入3つのステップ

ドイツ政府が取り組んでいる国家プロジェクト「インダストリー4.0」。製造業を革新するこのプロジェクトが日本でも注目され、スマートファクトリーへの取り組みを行う工場が増えつつあります。

スマートファクトリーはモノとインターネットが繋がる仕組みの「IoT技術」を活用し、工場をスマート化することで、今までにない新しい製造業のカタチを実現します。そんな工場のスマート化には、標準的なステップが定義されているのをご存知でしょうか?

そこで、今回はスマートファクトリーを構築するために必要な3つのステップをご紹介します。また、この記事ではそれぞれのステップでの課題やリスク、工場のスマート化に成功するためのポイントなどもご紹介していきます。

システムの導入に必要な3つのステップ

システムの導入に必要な3つのステップ

工場をスマート化するためには、踏まなければならないステップがあります。それは、「スマート化の構想策定」「トライアル・システム導入」「運用」の3つです。これらのステップが工場のスマート化を成功させるためにとても重要です。

ステップ1:スマートファクトリーの構想策定

ステップ1では、自社の現状を分析することでどのような課題があるのかを認識し、スマートファクトリーを構築する目的や最終的な目標を設定します。プロジェクトを実施する管理体制の構想を策定します。つまり、スマート化して実現したいことや組織内での役割分担、作業範囲などを可視化するということです。この情報をもとに、さまざまな分析や不具合が起きた際の対策や将来の予測などに活用できるので、ステップ1は最も重要なポイントになると言えます。

ステップ2:トライアル・システム導入

ステップ2では、構想策定に基づいて導入システムの要件をさまざまな面から見ることで確認し、定義した後に目的に合うツールやシステムの選定を行います。

スマートファクトリーの構築は最初から大規模に始めるのではなく、小規模から始める「スモールスタート」が大切だと言われています。これは、リスクを避けるためにもサービスや機能を限定し、さまざまなデータの収集や分析を行い、徐々に規模を広げていくことがスマート化の成功へと繋がるからです。また、スモールスタートならいろいろなことを試すことができるので、トライアルによって得たデータから方向性を変えることができるといったメリットがあります。

ステップ3:スマート化システムの運用

ステップ3は、これまでの成果を可視化して運用を開始することです。つまり、システム導入後の効果を定期的に記録・観察・改善するといったモニタリング作業を行うことが重要なポイントになります。また、業務内容の改善点や新しいサービスの開発など、モニタリングで得たデータをもとにプランを作り変えることができるため、徐々に規模を広げていくためにも大切なステップになります。しっかりとステップを踏んで工場のスマート化を行えば、最悪の場合でもリスクを最小限に抑えることができます。

工場をスマート化するにあたっての課題とリスク

工場をスマート化するにあたっての課題とリスク

これまでに工場をスマート化させるためのステップをご紹介してきましたが、ただステップを踏んでいけば成功するという訳ではありません。というのも、それぞれのステップにはスマート化を妨げる課題やリスクが存在しているからです。

そこで、ここでは工場をスマート化する前に知っておきたい課題とリスクについてまとめてみました。プロジェクトを成功させるために必要な情報になるので、ぜひ参考にしてみてください。

構想策定の課題とリスク

ステップ1となる構想策定には、以下のような課題とリスクがあると言われています。

  • スマート化に対する経営者の関心が薄い
  • 全体最適化が難しい、できない
  • 関係者や部署との意見を一致させるまでに時間がかかる

会社や企業のトップとなる経営者が、スマート化に対する関心がない場合、しっかりとした構想策定ができなくなります。また、その逆で関心が強すぎるのも問題となり、トップが過剰に現場へと介入すると混乱を招くといったリスクもあります。そして、経営者や会社の組織・幹部など、意識の統一化が難しい、またはできないといった点も課題の1つです。その他にも、目的や目標、管理体制などを関係者や部署との意見を合わせるまでに時間がかかることも課題となります。

導入の課題とリスク

ステップ2となるトライアル・システム導入には、以下のような課題とリスクがあります。

  • データの種類や分析に時間とコストがかかる
  • 現場の負担が増えてしまう
  • 正しく情報共有がされず現場から抵抗にあう
  • データ入力の作業負担が大きくなる
  • 人材不足によってシステムが業務に適さない
  • 既存のシステムの統合・共通化に膨大なコストがかかる

どのような種類のデータが必要で、どのようにデータを分析する必要があるのかなど、このような作業には膨大なな時間とコストがかかってしまうもの。さらに、新しい試みやシステムを導入することによって、作業現場では何らかの負担が増えてしまいます。

最近では人手不足の問題もあるため、業務量が増えたからといって簡単に人員を増やせるわけではありません。さらに、膨大データを現場と共有するのは簡単なことではなく、必要なデータが正しく共有されない可能性も発生します。これにより現場からはスマート化に反対する声も出てくるかもしれません。また、ステップ2ではスマート化を実現するために必要なデータの入力作業が必要になりますが、一度に全てのデータ入力作業を行うため、作業員に大きな負担がかかってしまうのも課題となっています。

その他にも、スマート化に必要な知識の不足により導入システムが業務に適さない、導入システムと既存システムの統合や共通化に膨大なコストがかかってしまうこともあります。

運用の課題とリスク

ステップ3となる運用には、以下のような課題とリスクがあります。

  • 知識やスキル不足で導入システムを活用できない
  • 業務を標準化できず業務に支障が発生する
  • ブラックボックス化による人員のスキルや技術力の低下

IoT技術を使った工場のスマート化は、システムの知識やスキルが必要になります。しかし、現状ではこのような知識やスキルを持った人材は少なく、システムを活用できず上手く運用できない可能性があります。また、運用の時点で業務を標準化できておらず業務に支障が出てしまうことが多々見受けられます。このような状態では作業効率が上がるどころか低下してしまうこともあるため、大きな課題の1つになるでしょう。

工場の生産性や効率化を向上させるスマート化ですが、これらのようなリスクや課題を改善できないのであれば成功は難しいといえます。

工場のスマート化を成功させるポイントとは?

工場のスマート化を成功させるポイントとは?

3つのステップを踏むことで工場をスマート化することができますが、実現するにはさまざまな課題やリスクを克服しなければなりません。それでは、スマート化を成功させるポイントにはどのようなものがあるのでしょうか?

工場のスマート化を成功させるためには、ステップごとにポイントが異なります。構想策定では、経営者がスマート化に対する意思をしっかりと持ちつつ企業のトップとして全体を見渡し、意見をまとめて合意させることが大切です。トライアル・システム導入では、工場のスマート化に明確な目的・目標を設定して、今後の計画や方針を定めること。そして、適切なツールを選定し、一度に多くを望まずに、あえてスモールスタートから始めていくことが大切です。

運用では、新サービスの開発や規模拡大のためにモニタリングを行い、負担を抱える人員のモチベーションを向上させること。そして、デジタル化に伴って人員のスキルや技術力低下を防ぐために、業務だけではなくIoT関連の教育も行うことが成功へと導くポイントになるでしょう。

ステップを踏むだけでは工場のスマート化は実現しない

ステップを踏むだけでは工場のスマート化は実現しない

今回は工場をスマート化させる3つのステップについてご紹介してきました。しかし、先ほどもお伝えしたように、ただ順番にステップを踏んでいけば成功するという訳ではありません。それぞれの課程でさまざまな課題やリスクがあるので、それらを把握し、克服する方法を知っておくことが、スマートファクトリー構築の第一歩と言えます。

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