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経済産業省が公開している、工場をスマート化するポイントとは?

コラム
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生産効率や人材最適化、企業価値の向上に欠かせない取り組みのひとつとなっている「工場のスマート化」。必要とわかっていても具体的にどう進めていけばいいのか、何をすればいいのか明確になっていない企業が多いとよく耳にします。実際、スマート化の戦略立案でつまずいている企業が多く、その手助けのひとつになればと、経済産業省が「ものづくりスマート化ロードマップ調査」を公開しています。今回のコラムではそこから、工場をスマート化する8つのポイントをご紹介します。

工場の「スマート化」とは?

そもそも、工場のスマート化とは一体何を指すのでしょうか? 「自社には関係ない」と思ってしまうかもしれませんが、そんなことはなく、大まかに行ってしまえば工場のデジタル化・自動化とも言えます。例えば、手書きの図面をデジタル図面にすることもそのうちのひとつと言えます。

また、よく言われるのがIoTの導入。日本の製造現場ではPLCによる制御が一般的で、耐久性や拡張性が高いため、製造設備の制御に多く採用されてきました。しかし、近年の潮流はPC制御。集めたデータをPCで分析、解析することで様々なデータを有効に活用することができるため、世界中で導入が進んでいます。センサーやカメラのデータを用いたり、生産状況をデータ化して一元管理をしたり、IoTの進化は目まぐるしいものがあります。 工場のスマート化は大企業はもちろん中小企業の課題を解決する方法としても注目されています。

大まかな3つのステップ

工場のスマート化は、大まかに3つのステップに分けられます。

  • スマート化の構想策定
  • トライアルシステム導入
  • 運用

この3つのステップを理解することで、スマート化の概要が見えてきます。 そして、このステップをさらに細かく8つに分解して見ていきましょう。

Step 1 スマート化の構想策定

まずはスマート化のプランを作成することから始めます。

1.経営者主導で推進

スマート化の推進は現場から始まるわけではありません。経営者が率先をして経営戦略の一環として実施するものです。つまり、経営課題の解決策として推進していかなければなりません。よくある失敗例は経営層が現場に丸投げすること。ITが苦手だからといって、全てを現場に任せてしまっては進むものも進みません。まずは、経営者が興味関心を持つことから始めることが必要です。

2.社内での合意形成

新しいことを始めるときは、多かれ少なかれ内部から反発があります。工場全体の仕組みを変えるとなるとなおさらで、社内の反対に合わないためにも、事前の合意形成は非常に大切です。このステップは「改革を社員が理解し、同意すること」とも言えるでしょう。

3.目的・目標を明確に

自社のビジネス戦略、課題とスマート化の目的を明確にしましょう。まず考えられるのが自社の課題で、工場間におけるデータの共有や図面のデジタル化、従業員の高齢化など、会社が直面しているクリティカルな課題を探してみてください。その次に、その問題をスマート化で解決できそうか検討してみましょう。目的・目標は数字であればいいのですが、最初の段階ではそこまで策定するのは難しいかもしれません。まずは、課題を並べてみて、それを解決することを目標として推進してみましょう。

4.対象範囲を明確にした計画の策定

ここが非常に大切で難しいパートになります。スマート化の範囲や規模、メンバー、コストを明確にし、そこから事業計画に落とし込んで実施することになります。ここまでやるには、経営者と現場が同じ意識を持っていること、さらに社員の役割分担が明確になっている必要があります。通常業務をこなしながらスマート化を進めていくことになるので担当者の負担は大きくなってしまいます。そのため、社内の人材だけで進めていくのはなかなか難しく、スマート化にたどり着くまでに息切れしてしまいます。無理に社内だけでスマート化を達成するのではなく、システム開発をしてくれるパートナー会社と協力しながら進めていくのが現実的で効率的な進め方になります。

Step2 トライアルシステム導入

次に、トライアルシステムの導入を見ていきましょう。

5.自社に合ったツールの選択

全体像がまとまったら、次に導入するツールを決めていきます。ツール選定のポイントは「一度で全てのツールを導入しないこと」です。コストや時間の負担を考えると部分的に進めていくのが現実的なだけでなく、スモールスタートで始めた方が失敗した際の再設計が容易で効率的に進む場合もあります。工場のスマート化は一度で全てやる必要はないのです。

6.社内外のパートナーと協力して可能な限り標準ツールを活用

各ツールに関してはできるだけ、セキュリティと拡張性を考慮したオープンで標準的なツールを選択しましょう。PLCはメーカーによって仕様が異なり、複数メーカーを同じ現場で使うのは現実的ではありませんでした。複数のメーカーにあわせてプログラミング言語を覚える必要があり、人材面でも課題を抱えています。こうしたPLCと同じ道を歩まないためにも、できる限り標準的なツールを使うことをおすすめします。標準ツールであれば多くの会社が導入しているため、成功事例を探しやすく、保守や運用面を考えても十分メリットはあります。オリジナルシステムはとても魅力的ですが、導入まで時間がかかり、コストや人的リソースも取られてしまうばかりか、汎用性がなくなり、都度大きな改修をしなければいけない可能性もあります。スマート化の成功の確度を上げていくためにも、できる限り標準ツールを選ぶようにしましょう。

Step3 運用

最後に運用についてご紹介していきます。

7.投資効果の定量的モニタリングと社員のモチベーション向上

工場のスマート化は「システムが導入されれば終わり」という訳ではありません。むしろシステムが導入されてからがスマート工場のスタートです。日々運用を行い、効果測定をしながら工場を見える化し改善していきましょう。スタートした時点では、まだまだ不確定要素が多くあります。スマート化が成功したかどうか判断するのは時期早々で、現場の意見を汲み取りながら、データを集め分析することに集中しましょう。また、システムがガラリと変わったことで発生する「社員のモチベーションの変化」にも配慮してください。1度慣れたやり方を変えるのは簡単なことではありません。社員の小さな変化も見逃さないように定期的なヒアリングを行うのも効果的です。

8.業務とIoTに関する社員教育と社員の参加を推進

どんなにデジタル化を進めても、最終的にそれを動かすのは人です。人が不要になることは決してなく、データの監視やレビューなど、新しい仕事は次々に生まれてきます。今、このタイミングでIoT活用を前提とした人材教育を行い、時代の流れに取り残されないようにしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今まで不透明だったスマート化の全体像が少し見えたのではないでしょうか?

日本ではこれから導入が進んでいく工場のスマート化ですが、海外では積極的に導入が進められています。難しいように聞こえるかもしれませんが工場の課題を解決し、生産効率を上げていく方法であることは間違いありません。まずは、自社にどんな課題があり、スマート化できそうな部分あるのかを探していくことから始めてみてください。

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