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次世代工場の鍵!ロボットによる技術継承の効果とは?

コラム
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AIの台頭や現場を支えるロボットの技術進化により、世界中の製造業は転換期を迎えています。日本国内の製造業も多分に漏れず、さまざまな変化が求められています。
特に顕著なのは少子高齢化による人材不足で、製造業で働く若い技術者が減り、熟練工からの技術継承がうまくいっていないことが多いようです。

そこで注目されているのが産業用ロボットによる技術継承です。熟練工の技術をロボットで再現することで、人にしか蓄積されなかった技術を、データとして蓄積することができるようになります。

この記事では今工場で必要とされているロボット技術や、今後の展開などについて詳しく解説していきます。

技術継承の課題

近年、日本の製造業では技術継承が大きな課題となっています。特に高度な技術をもった熟練工が多い製造業では、その知識や技能を次世代に伝えることが求められています。

高齢化と人手不足

多くの製造業では熟練工の高齢化による定年退職が近づいています。しかし、若い世代の間で製造業への関心が低下していることや、そもそもの人手不足により、熟練工から技術を継承する若手が不足しています。

暗黙知

製造業で用いられる技術やノウハウの多くは、言葉で説明することが難しい暗黙知に依存しており「人から人」でないとスキルを継承することができません。いままで暗黙知だったスキルをデータ化し「人から人」ではなく「データから人」でスキルを身につけることができるようになることが求めらています。

教育と訓練の方法

従来の上下関係や師弟制度、OJT(On-the-Job Training)では、限られた人数にしか知識や技術を伝えることができません。より多くの若手に技術を継承するためには、テクノロジーを利用した伝え方が必要とされています。

こうした課題に対処するためには、企業文化の変革、教育制度の強化、テクノロジーを活用した伝え方など、多面的なアプローチが求められています。また、若い世代に製造業の魅力を再認識してもらい、熟練技術者と若手の間のコミュニケーションを促進することも重要です。

期待外れなロボットと期待通りのロボットの違い

業界全体がこうした課題を抱える中、産業用ロボットを使った課題解決方法が次々と生まれています。すでに、大量生産品の製造ラインでは当たり前のように産業用ロボットは導入されており、近年では人と同じスペースで作業を行う協働ロボットの導入も進められています。

しかし、ロボットを導入したものの期待通りの効果は得られなかったという声を多く聞きます。そこで、今回は溶接を例に挙げ、「期待外れな導入」と「期待通りな導入」の違いをまとめましたのでご覧ください。

ワークの位置ずれを認識できない

ロボットシステムの問題点として多く聞くのが、ワークの位置ずれや前工程での製造誤差を認識できないことです。専用のジグを使っても寸分の狂いなくセットできるわけではなく、そもそも前工程でズレが発生していたらロボットはそれを追従することはできません。
そもそも産業用ロボットは、教えられた繰り返し動作を行うだけで、ワークを認識して動作しているわけではないからです。

「ロボットがワークを認識しない」ということを解決するために、近年ではロボットと3Dスキャナや画像処理を組み合わせることで、ワークの形状や位置を認識し、自動で動作を補正するロボットシステムも誕生しています。

高精度の職人技が実現できない

そもそも、産業用ロボットはティーチングによって教えられた動作しかできず、職人のようにワークを見て、素材の状態や製造誤差によって動作を変えることはできません。これを知らずにロボットを導入してしまうと「期待外れなロボット」になってしまいます。
しかし、「ロボットは難しい作業はできない」から「ロボットは簡単なことは高い精度で作業できる」に発想の転換を行うことで見える景色は大きく変わってきます。

例えば板金溶接の場合、直線的で簡単な部分はロボットに任せ複雑な部分は人が担当する。こうすることで熟練工の手が空き、新人教育や自身の工数増加に時間を使うことができます。

ロボット導入時の課題

とはいえ、ロボット導入の課題はまだまだ多いのが現状です。

ロボットに関するスキルの向上

ロボットは一見簡単に動いているように見えますが、先端技術のかたまりです。適切に導入・運用するにはロボット本体に関する知識はもちろん、センサやハンドツールといった周辺機器に関する知識も必要になります。協働ロボットのような比較的操作が簡単なロボットもありますが、それでも知識ゼロで運用することはできません。

資金的な課題

産業用ロボットは、本体、周辺機器含め初期費用が高価なことや、成果が見えにくく、導入に二の足を踏むことがあります。資金に関しては国や自治体の補助金を活用することで導入費用を抑えることができます。ロボットの導入理由によって、さまざまな補助金がありますので一度検索してみてください。

まとめ

製造業をはじめとするさまざまな工場では、高齢化や技術者不足による技術継承問題に直面しています。

ロボット技術はこの問題を解決できる可能性があり、ロボットメーカーやサードパーティがロボットに関するさまざまな技術を開発しています。これらの技術には技術継承問題を解決し、労働者の負担を減らすことで仕事環境が改善されることが期待されます。

そしてロボットを導入するときは、ロボット本体の性能はもちろん、周辺機器の選定にも気を配ることが肝心です。特に人不足が深刻な中小企業においては、ロボットの運用負担を減らすために一番に考えておかなければいけないポイントになります。

熟練の職人の技術を残していくためにも、ロボットの活用が今後広がっていくことは間違い無いでしょう。

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