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溶接工程自動化の誤解を解く。自動化成功の鍵は工程の分解?

コラム
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溶接工程の自動化は難しいと思っていませんか?
確かに全ての溶接工程を自動化するのは簡単ではありません。しかし「自動化」を正確に理解することで不可能を現実にすることもできます。
そのためには、「溶接工程全体を自動化する」という考えを一度捨てる必要があります。

この記事では、自動化にまつわる誤解を解消するため、溶接の可能性について解説をしていきます。

溶接工程自動化のメリット

溶接工程の自動化には人手不足の解消や品質の安定化、効率化、作業環境の改善、品質保証の向上といった多くのメリットがあります。自動車産業や機器製造など、大量生産が求められる分野では溶接工程の自動化が不可欠となっています。

自動溶接には「自動溶接機」と「産業用ロボットによる溶接」の二つの主要な形態があり、それぞれが溶接作業の精度と速度を大幅に向上させてくれます。

自動溶接の種類と特徴

自動溶接機は、溶接ライン上で連続的な溶接を可能にしますが、溶接方向の制限や溶接ビードの形状に制限があります。一方、ロボット溶接は、このような制限を克服し高速な作業、曲面への溶接対応、安定した品質レベル、作業環境への影響低減などのメリットがあります。ただし、導入コストが高い点や、溶接ロボットの操作には専門知識が必要な点がデメリットになります。

なぜ自動化が難しいの?

溶接の自動化が難しい主な理由は、工程の複雑さと変動性にあります。まず、異なる製品において材料や厚み、形状が異なるため一般的な自動化が難しいと言うことです。

例えば、熟練の職人が行う製品ごとに発生する微調整や、異なる状況に適応する柔軟性が求められる場合、機械で再現するのは難しいのです。なぜなら、機械は指示された通りに動作を繰り返すのは得意ですが、自ら考えて動くことはできないからです。

また、溶接の仕上がり具合は環境に左右されます。温度や湿度の変化、材料のバリエーション、作業環境の違いなど、あげればキリがありません。これらの要因に対処するためには高度なセンサーや制御システムが必要であり、これが高いコストと技術的な難しさを招いています。

さらに、溶接工程には人間の直感や熟練した技術が要求される場面も多く、複雑な溶接形状や細かい作業において機械が同様の精度を持つことは、とてもハードルが高いことになります。

総じて、溶接の自動化はその複雑さや環境が関係しており、溶接工程全体を自動化する足枷ともなっています。

自動化成功のポイントは現在の作業を分解する事

溶接自動化の鍵は現在の作業を細かく分解することです。全ての工程を自動化するのは難しくても、分解することで自動化できるポイントを見つけることができます。

各工程を明確に理解し、自動化が最も有効で効率的な箇所を見極めることが大事です。機械が得意な工程を見つけ、そこから自動化を進めて行くことができます。

単純、簡単な作業の割合はどれくらいあるの?

溶接の中には単純で簡単な作業も存在しますが、その割合は製品によって異なります。一部の溶接作業はハードルが低く簡単ですが、複雑な製品では高度な技術やスキルが必要です。

例えば、TIG溶接は非常に高度技術が求められる溶接ですが、高齢化により職人の数が減っている問題を抱えています。TIG溶接の曲面は自動で溶接するのは困難です。なので、比較的簡単な直線部分はロボットに任せ、曲線などの複雑な箇所は職人に任せるといった分担も必要になってきます。

熟練工のリソースを最大限生かすために、人の負担を下げる自動化のやり方も検討の余地があります。

作業がロボットにより自動化されれば、全体ではどれくらい生産性が向上するの?

溶接作業をロボットによって自動化すれば生産性の向上が期待されます。

生産サイクルの短縮により、作業効率が向上することで生産性は従来の手作業と比べて大きく向上することが期待されます。分解できる工程によっても生産性は異なってきますが、30〜40%は生産性に影響を与えるのではないでしょうか。

ロボットは24時間体制で作業ができるため、休憩のいらない継続的な動作が可能になります。これにより、効率的な生産ラインが確立され、ヒューマンエラーによる溶接工程への影響が軽減されます。

自動化を進めるなら、ティーチングレスで

ここまでロボットを導入するための方法をご紹介してきましたが、具体的にどう自動化を進めたらいいかわかりませんよね。

まずロボットを選ぶ上で大事なことは、ティーチングレスであること。一般的な産業用ロボットは、事前にティーチングをして動作を記憶させておく必要があります。しかし、多品種少量の溶接をしている場合、毎回ティーチングをしていたら、時間がいくらあっても足りません。またティーチングをする技術者を採用するのも簡単ではありません。

そこで検討したいのがティーチングレスのロボット。ティーチングレスとは、ティーチングを必要としないロボットのことです。でも、どんなロボット存在するのでしょうか?

実は、溶接業界において、リンクウィズが板金溶接パッケージとして、単純形状ワークのTIG溶接の自動化を実現しています。しかもティーチングレスで、誰でも操作が簡単なのが特徴です。

自動化が難しい板金TIG溶接を自動化する

リンクウィズが開発したL-ROBOTの「ロボットティーチング自動生成機能」は、TIG溶接工程を一変させる技術となっています。

このシステムの最大の特徴は、従来のように高度なスキルや長年の経験が必要だったTIG溶接作業を、ロボットが自動で行えるようになった点です。具体的には、作業員がワーク(溶接する物体)を簡易治具に置き、製品情報が登録されたバーコードをスキャン後、スタートボタンを押すだけで、ロボットが溶接作業を開始します。
これにより、現場経験や溶接経験がないスタッフでも簡単にロボット操作と自動溶接が可能になっています。

3Dスキャナによるワークのスキャンと、三次元形状解析ソフトウェアを使用した溶接パスの自動生成が技術的な核となっています。この技術によって、ワークの形状や位置ズレに合わせた最適な溶接パスをロボットが自動で生成し、まるでベテランの溶接職人が行うような高品質なTIG溶接を実現しています。
製造業における人手不足の解消や、高い品質の溶接を一貫して提供することによる生産性の向上はもちろん、職人技に依存しない溶接システムの構築により、技術継承の問題も軽減されるでしょう。

TIG溶接作業の「自動化」と「誰でもできる作業への変化」は、産業の未来に大きな影響を与える可能性を秘めています。

自動化が実現可能な未来へ

現段階では全ての溶接工程を自動化するのは無理と言っても過言ではないでしょう。
しかし、この記事でご紹介したように「単純な箇所は自動化し複雑な箇所は人が行う」と言ったように、一つの工程を分解することで自動化できる箇所とできない箇所が見えてきます。
少し前まではTIG溶接の自動化が困難だったように、技術進歩によって複雑な形状の溶接が可能になる日はすぐそこまできていると感じます。
「溶接工程の自動化」を実現できるように、工程の分解によって今から自動化を少しずつすすめ、すぐに最新技術に対応できるように準備していきましょう。

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