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溶接用ロボットの課題と現時点で最適な解決策

コラム
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金属と金属を接合する溶接技術。ツタンカーメンの棺から溶接によって作られた装飾品が発見されたことから、溶接技術は紀元前1400年ごろから使用されていたという記録が残されているそうです。
従来はほとんどの溶接が人の手によって行われていましたが、現在では溶接用ロボットが開発され、単純な内容であれば人の手を使わなくとも溶接することが可能になりました。また、最近では少子高齢化によって人手不足が問題となっていますが、ロボットの導入によってそうした問題の解決にも繋がっています。
しかし、溶接用ロボットにはまだまだ課題が残っていると言われています。そこで、この記事では溶接用ロボットの課題とその解決策についてご紹介していきます。
課題を解決することでより効果的なロボットの導入・活用が期待できるので、ぜひ参考にしてみてください。

「溶接用ロボット」ってどんな機械?

溶接用ロボットは、垂直多関節ロボットにトーチをつけ溶接することができる機械です。しかし、それだけの知識だけで導入するのは不安なので、具体的にどういったロボットであるのかを知っておきたいものです。

ここでは、まず溶接用ロボットの特徴や導入するメリット・デメリットをご紹介していきます。これから導入を検討している方は、ロボットの課題や解決策はもちろんですが、基礎知識として参考にしていただければと思います。

人の手による溶接が不要に

溶接は大昔から用いられている技術です。当然ですがロボットが開発されるまでは人による手作業で溶接を行っていました。しかし、産業用ロボットの開発が進んだことで溶接用ロボットが開発され、単純な内容であれば人の手を煩わすことなく溶接を行うことが可能になりました。
そのため、問題視されていた人手不足が少しずつ解消し作業効率の向上や人件費削減といった効果を得ることができるようになっています。また、溶接は危険を伴う作業ですが、ロボットが行うことで作業員の安全も確保することもできます。

さまざまな溶接が可能

溶接にはスポット溶接やTIG溶接など、さまざまな種類があります。これらの溶接もツールと環境を整えることができれば溶接用ロボットで作業することは可能です。 しかし、複雑な面の溶接に関してはお世辞にも「精度が高い」と言えないのが現状で、直線に近い溶接面にしか効果的に活用できないといった弱点があります。
もしも複雑な溶接を行う場合、ロボットだけでなく作業員の手を加えるか、作業員が行うなどの対応が必要にになるケースもあります。

作業員の安全を確保

溶接を行う際に人体に害のある物質が発生し、最悪の場合は作業中に事故が起きることもあります。しかし、溶接用ロボットを使えば現場に人が立ち入る必要がないので作業員の安全を確保することができます。

ちなみに、発生する有害物質は「溶接ヒューム」と呼ばれるもので、吸い込んでしまうと肺の奥にある肺胞に付着します。付着すると肺組織が弾力を失ってしまい「じん肺」を発症する可能性があると言われています。
この「じん肺」は初期症状はほとんどなく年月をかけて徐々に咳や痰といった症状が進行していき、最終的には肺の機能が低下し呼吸困難を引き起こすと言われています。
溶接用ロボットはこのような将来的に発生する重篤な症状からも作業員を守ることができるので、導入を進めている企業は多いのではないでしょうか?

溶接用ロボットの導入には知識や技術が必要に

溶接用ロボットに限ったことではありませんが、ロボットを導入するにあたって作業動作を記憶させる「ティーチング」と呼ばれる作業が必須となります。つまり、単純にロボットだけを導入しても活用はおろか、動かすことすらもできません。
このティーチングには2種類の方法があり、
実際にロボットを動作させながら記憶させる「オンラインティーチング」
事前に作成した動作プログラムをロボットに転送する「オフラインティーチング」
のいずれかでティーチングを行う必要があります。
しかし、このティーチングは専門的な知識や技術が必要となります。そのため、自社で技術者を育成するか外注でティーチングマンに依頼する必要があるため、時間やコストが発生し導入ハードルが高くなってしまうといったデメリットがあります。

溶接用ロボットの課題と解決策

これまでの内容から、溶接用ロボットについて導入することでどういったメリット・デメリットがあるのかをお分かりいただけたかと思います。 しかし、そんなメリット豊富な溶接用ロボットにもまだまだ解決が必要な課題が残っています。
ここでは、溶接用ロボットの課題と現時点で最適とされる改善策をまとめました。

スパッタの発生

溶接を行うとどうしてもスパッタと呼ばれる金属の粒が発生してしまいます。このスパッタとは溶接によって母材を溶かす際に火花が飛び散り、その際に溶けた金属が一緒に飛び散って固まることで発生する物質のことです。
溶接用ロボットを使用するとこのスパッタが多く発生しがちで、手作業によって取り除く必要があります。しかし、技術の進歩によって溶接機器メーカーからスパッタの少ない溶接機が開発・発売されてきています。導入の際にはスパッタが及ぼす影響なども考慮して溶接機の検討を行ってください。

溶接部材と機器の干渉

溶接用ロボットの物理的な課題として、厚みや深さのある箇所の溶接を行う際にケーブルが溶接部材と干渉してしまうことがあります。これに関しては、ケーブルが内蔵された溶接用ロボットが販売されているのでこちらを導入してみてはいかがでしょうか。

ティーチングマンの育成

溶接用ロボットを稼働させるにはティーチングが必要ですが、現在、作業員だけではなくティーチングマンも不足しているといった課題があります。ティーチングマンを自社でゼロから育成するのは難しく、時間もかかってしまいます。かと言って外注するとなると高額な費用が発生することも。
この「ティーチングをどうするか」が大きな課題となってロボットの導入が進まない企業は多いのではないでしょうか?
オフラインティーチングやティーチングパス自動生成ソフトを使うことで作業量を減らすことはできますがティーチングを完全にゼロにすることはできません。現状、簡単なティーチングは自社で行いつつ、複雑で重要な箇所のティーチングは外注でまかなうのが最善策なのかもしれません。

ティーチング工数を減らすには?

溶接用ロボットは手作業による溶接作業が不要になり、作業員の安全確保や作業効率の向上などが期待できます。しかし、思った通りに動かせなかったり、ワークが少しずれているだけで、不良品が発生してしまったり、まだまだ効率化できるところは多々あります。その都度ティーチングするのは本当に手間ですよね。

そんな問題を解決してくれるのが「L-ROBOT」です。ティーチングパスの生成や補正を自動で行えるため、ワークの製造誤差や置き位置のずれにも対応できます。これにより、生産性が向上し人員の最適化が可能になります。「L-ROBOT」の主な機能については下記ページをご覧ください。

加工不良0を常識にする。ティーチングデータ自動補正システム。「L-ROBOT」

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